手紙・はがき、さらなる値上げの可能性 コスト削減でも「収支厳しい」

AI要約

郵便料金の値上げが決まり、事業の存続が厳しい状況。需要の減少や収支の悪化が背景にあり、政府も新たな国民負担を考えている。

日本郵便は20年以上で取扱量が半減し、コスト削減策を進めてきたが、値上げを余儀なくされた。岸田文雄首相も郵便料金制度の見直しを指示し、総務省が検討に入った。

自民党内では、赤字が続く中で将来の存続に危機感を示し、国の財政支援を求める声が上がっている。郵政民営化法の改正を目指す議員もいる。

手紙・はがき、さらなる値上げの可能性 コスト削減でも「収支厳しい」

 郵便料金の値上げまで、あと2カ月余りとなった。郵便事業が赤字に陥り、本格的な値上げが避けられないという。需要が先細る中、事業をどう存続させるか。政府や自民党内では、早くも新たな国民負担の可能性が取り沙汰されている。

 10月1日から定形25グラム以下の手紙は1通84円から110円に、はがきは1枚63円から85円に上がる。国内郵便物の取扱量は右肩下がりで、この20年余りでピーク時からほぼ半減。日本郵便は、普通郵便の土曜配達をやめたり、配達日数を延ばしたりしてコスト削減を進めてきたが、「収支は厳しい」(増田寛也・日本郵政社長)として値上げに踏み切った。

 こうした動きと並行し、岸田文雄首相は3月、「郵便事業の安定的な提供を将来にわたり確保する」として、郵便料金制度の見直しも視野に検討するよう関係閣僚に指示した。これを受けて総務省は7月、有識者会議を立ち上げて具体的な検討に入った。

 自民党内では、値上げしても赤字傾向は変わらず「郵便事業はあと数年でやっていけなくなる」として、国の財政支援を求める声がある。郵便が担う公共サービスの役割を明確化し、事業の立て直しを後押しするため、一部議員らが郵政民営化法の改正を目指している。【藤渕志保】