<サンフランシスコでの乗車体験記>透明人間が運転?「Waymo」に乗って分かったこと

AI要約

14階から完全自動運転タクシー「Waymo」に乗車し、驚くほどスムーズな運転を体験。

アルファベット傘下のWaymoは安全性と利便性を実感させ、市民や行政の前向きな反応が見られる。

自動運転技術の普及が日本でも期待され、交通インフラや移動時間の価値向上に期待。

<サンフランシスコでの乗車体験記>透明人間が運転?「Waymo」に乗って分かったこと

 ビルの14階からスマホアプリで手配して数分後、エレベーターを降りて外に出ると、すでにその車は待機していた。

 完全自動運転タクシー「Waymo(ウェイモ)」だ。

 車は「ジャガー」で4人乗り。車体には複数のセンサー、カメラが設置され、障害物を素早く検知する。送迎、行き先もスマホで指示するだけである。

 車に乗り込み、後部座席にあるタッチパネルの「START RIDE」を押すと、ハンドルがクルクル回り始めるとともに、発進した。

 当然だが、運転手はいない。まるで透明人間が運転しているかのような錯覚に陥った。無人と言われなければ分からないくらい、スムーズだからだ。発進後、シートベルトを着用し忘れていたわれわれに、警告音で知らせてくれた。

 走行中、人がいれば減速し、右折、左折も難なくこなす。

 狭い道に入った。右側に大型車、その先の左側に自動車が止まっていたが、スムーズに左に、右にハンドルを切っていた。赤信号ではゆっくり止まり、急ブレーキや急発進はない。端的に表現すると、人間の運転よりも〝ちょっぴりうまい〟のだ。

 ウェイモは2009年より米グーグルが開発を始め実用化したもの。現在はグーグルの親会社であるアルファベット傘下の自動運転開発企業である。21年、サンフランシスコで限定された利用者向けに自動運転サービスが開始され、現在はフェニックスやロサンゼルスでも走行している。

 各種報道によれば、6月25日には、サンフランシスコで一般市民向けにも開放されたとの発表があったばかりだ。

 これまで、走行中の風景や車内の様子はニュースやユーチューブなどでも見たことがあったが、見るのと乗るのとでは大違い。今回、10分ほどの乗車体験であったが、その完成度の高さに衝撃を覚えたとともに、安全性、利便性を実感することができた。サンフランシスコ市内でこれだけ普及しているのを見ると、市民や行政の反応は前向きのようだ。

 周知のとおり、日本では、タクシー運転手の人手不足が深刻である。特に地方では次世代の交通インフラとして、自動運転タクシーには期待が集まっている。それだけでなく、将来的に自家用車でも完全自動運転が可能になれば、そのインパクトは計り知れない。

 取材班は西海岸を移動中、何度も大渋滞に遭い、フリーウェイでは猛スピードで走行する車にヒヤヒヤさせられた。こうしたことから解放されれば、移動時間はもっと価値あるものになるはずだ。