社債権者保護へコベナンツ利用を促進、低格付け債の発行に道-日証協

AI要約

日本の社債市場において、コベナンツ(財務制限条項)利用が始まり、投資家保護が進むことで低格付け企業も債券市場に参入が期待されている。

日証協主導のワーキンググループが、低格付けの社債に適用されるコベナンツの詳細を議論し、投資家の保護を重視しつつ柔軟な対応を採用した。

コベナンツを社債に付与することで投資機会の多様化を図り、市場を活性化させるための取り組みが進められている。

(ブルームバーグ): 日本では社債発行企業のコベナンツ(財務制限条項)利用が始まることで投資家保護が進み、低格付け企業が債券市場に参入する道が開かれると期待されている。

日本証券業協会が主導するワーキンググループ(WG)は6月、低格付けの社債に適用されるコベナンツの詳細を議論するため毎月開催してきた一連の会合を終えた。

日証協によると、格付けがBBBプラスを下回る社債を対象に、「チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項」と「レポーティングコベナンツ」を柔軟性を保ちながら適用することで合意した。前者は会社の所有者が変わった場合に投資家を保護する条項で、後者は債務不履行(デフォルト)の可能性が高まった場合に投資家への通知を発行体に義務付けるものだ。

日本の社債市場でコベナンツの議論が再燃したのは、2023年にホテルチェーンのユニゾホールディングスが債務不履行に陥った際、債権者保護の不足に投資家が不満を募らせたことがきっかけだ。日証協はまず格付けの低い企業の社債にコベナンツを適用して発行を促し、市場を多様化して幅広い投資機会を提供することを目標としている。

日証協自主規制本部の公社債・金融商品部長の西村淑子氏はブルームバーグとの4日のインタビューで、「低格付けの社債にコベナンツを付与することで、少しでも投資ハードルを下げて投資が進むようにしたい」と述べた。

西村氏は、全てのBBB格以下の社債にCOC条項が付くことが当たり前になってほしいとの思いはあるとした上で、社債管理者を設置するなど、社債権者の保護が別の形で担保されていればCOC条項は付けなくても良いといった柔軟な対応もあり得ると話した。

日証協は7月末に報告書を取りまとめる予定で、その後は証券会社の引き受け審査WGと引き受けWGが9月以降に詳細をさらに議論する見通しだ。

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原題:Japan Pushes for Greater Use of Protections on Corporate Bonds(抜粋)

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