新型ジープ?「いいえトラックです」 屋根も窓ガラスもドアも無ぇ!? 使い方を教えてくれた怪しいマスク男

AI要約

スウェーデンのトラックメーカー、スカニア社がパリで開催された防衛見本市で新型軍用トラックを展示。屋根がないオープントップのデザインに注目が集まる。

軍用輸送機C-130『ハーキュリーズ』に載せるため、キャブを撤去し車高を低く設計。7割近くが市販モデルと共用化される。

フランス軍が要望し、少数が納入されて運用試験中。具体的な部隊や任務については非公開。

新型ジープ?「いいえトラックです」 屋根も窓ガラスもドアも無ぇ!? 使い方を教えてくれた怪しいマスク男

 今年(2024年)6月にフランスのパリで開催された防衛見本市「ユーロサトリ2024」にて、スウェーデンのトラックメーカーであるスカニア社が、オープントップ(露天)タイプの風変わりな新型“トラック”を展示して話題になりました。

 車両は前後2軸4輪のトラックで、タイヤは大口径のオフロードタイヤを装着、車体と地面のクリアランスは大きくとられ、最低地上高を高くすることで悪路走破性行を向上させた形状になっています。一方で、運転席と荷台は、ルーフからフロントガラスやドアまで一切なく、100年前のトラックかというほど、ボンネットから上が見事にない状態です。

 これは軍用のトラックです。日本国内で見かける一般的なスカニアのトラックは、エアロパーツを装着してスタイリッシュなものが多いのに対して、この新しい軍用トラックはそれとは真逆のデザインとなっています。

 屋根のない軍用トラックというと、民間はもちろんのこと現代の軍隊でもなかなか見かけることはありません。たとえば自衛隊や在日米軍などのトラックも、なかには屋根を外せるようになっているものもあるものの、ほとんどの車体は屋根ありか、もしくは幌を付けたままのものばかりです。これは、雨風が防げないと快適性が悪くなるほか、乗員防護の観点から、そもそもキャビンや場合によっては荷台も装甲板で覆うなどしている車両が多いからだと言えるでしょう。

 では、2024年の現在に、そんな絶滅危惧種ともいえるオープントップのトラックを新規に開発した理由は何でしょうか?

 このトラックを開発したのは、スカニアのフランス法人で軍用や消防向けにカスタムした車両を販売しているSPAD(スカニア・パブリック・アンド・ディフェンス)社 です。

 同社によると、フランス軍の要望で開発され、現在は若干数が軍に納入されて運用試験を受けている最中だといいます。まさに、できたてホヤホヤの新モデルのためか、正式な車名すらもないそうです。

 珍しいオープントップのデザインになった理由については「軍用輸送機C-130『ハーキュリーズ』で空輸するため」と答えてくれました。

 通常のスカニアのトラックはキャブが大きいために車高が高く、C-130サイズの戦術輸送機(貨物室の高さは約2.7m)では積み込むことができません。そこで、スカニアはキャブを撤去して、運転席をエンジンの後方に移設し、いわゆるボンネット式トラックと同じ構造にすることで車高をできる限り低くして、機内搭載できるようにしています。

 また、このトラックは見た目こそ軍用のオリジナル車両のように見えますが、じつは、シャシーやドライブトレインなど、実に7割近くが市販の民間モデルと共用化されているのだそう。そういった点もこの軍用トラックの大きな特徴のひとつだと話してくれました。

 ただ、具体的にどこの部隊で採用され、どのような任務で使われるかについては「軍側からその情報を開示することを許可されていない」と最後まで教えてくれませんでした。

 しかし、会場の他のブースを見学していたところ、当のフランス陸軍の隊員がその答えをあっさりと教えてくれました。