効率追求の落とし穴 「レジなし店舗」が見逃しがちな重要ポイントとは?

AI要約

日本国内で体験したレジなし店舗の特徴や懸念について述べられています。

Amazon Goなどの他国の同様の店舗も比較しながら、レジなし店舗の最適な姿について考察されています。

米国や中国などで展開されているレジなし店舗の仕組みや技術の違いに触れながら、各社の特徴や進化について解説されています。

効率追求の落とし穴 「レジなし店舗」が見逃しがちな重要ポイントとは?

 日本国内で体験した人が最も多いレジなし店舗はおそらく、JR東日本スタートアップとサインポストの合弁会社であるTOUCH TO GOが開発した、高輪ゲートウェイ駅構内に2020年3月に開店した「TOUCH TO GO」でしょう。

 筆者はこれまで、日本国内のみならず、米国や中国など国内外で、同様の技術を用いたレジなし店舗を複数回、体験してきました。その中で感じたのは、効率性を追求するあまり、ある重大なポイントを見逃しているのではないか、という懸念です。

 今回は、複数のサービスから、レジなし店舗のあるべき姿を考えてみたいと思います。

 Amazon Goに刺激を受けて、同様のレジなし決済の仕組みを開発したスタートアップ企業は、米サンフランシスコだけでも複数社あり、筆者は2019年にStandard Cognition社が展開する「Standard Market」と、Vcognition Technologies(Zippin)社が展開する「Zippin」を現地視察しました。Zippinは2021年3月からは富士通を国内総代理店として、レジレスソリューションを販売しています。

 また、同年に中国・上海虹橋空港にあった同様の仕組みを導入する店舗「LePick」(ルピック)も訪れて買い物をしました。LePickを運営する云拿科技(CloudPick、クラウドピック)はNTTデータと提携しています。NTTデータは「Catch&Go」というサービスを日本で提供しています。

 これらの店舗の仕組みは、天井に設置されたカメラで来店客の行動を把握して追跡し、商品棚の重量センサーで来店客がどの棚のどの商品を何個取ったのかという精度を補完する点で共通しています。精度の差は主にカメラの種類(三次元情報を計測できるToFセンサー、ステレオカメラ、安価なRGBカメラなど)と台数、AIの性能で異なります。

 なお、Standard Cognitionは当時、安い防犯用のRGBカメラだけで、重量センサーがなくてもレジなし決済ができると説明されましたが、実際に試すことはかないませんでした。デモ店舗に設置されている商品が大サイズの物ばかりだったので、当時は現実的でないと感じました。

 現在は社名をStandard AIに変えてレジなし決済ではなく、棚監視や万引防止サービスに事業転換を図っているようです。