想定の2倍以上の赤字の「札幌ドーム」、山川社長「見通しが甘かったというのは抵抗がある」

AI要約

札幌市の第3セクター「札幌ドーム」は、2024年3月期決算を発表し、プロ野球チームの移転による赤字が過去最大の6億5100万円に膨れ上がった。

売上高が低下し、新モードの導入も振るわなかったことから、内部留保で赤字を補填した札幌ドームは改善策を模索している。

命名権の売却や広告枠の販売を検討し、黒字化を目指す札幌ドームは、市民利用の促進も含めた新たな戦略を展開する方針。

 札幌ドームを運営する札幌市の第3セクター「札幌ドーム」は21日、2024年3月期決算を発表した。プロ野球・北海道日本ハムファイターズが北広島市に本拠地を移し、収益の柱を失った23年度の最終的な赤字(当期純損失)は過去最大の6億5100万円と、市が想定した2倍以上の金額に膨れ上がった。

 「我々がやろうとしたことが思うように進まなかったのは問題だが、見通しが甘かったというのは抵抗がある」。21日に札幌市内で開かれたドーム社の株主総会後、報道陣の取材に応じた山川広行社長は顔をしかめた。

 ただ、決算の数字は予想以上に厳しかった。売上高は12億7100万円(前期比17億400万円減)で過去最低を記録。赤字は市が22年に公表した試算で示した2億9400万円を大幅に超えた。赤字に転落したのは大規模改修が行われた14、18年度、コロナ禍が影響した20年度に続き4回目となった。

 年間60試合ほど行われた日ハム戦がなくなったため、イベント日数は22年度の124日から23年度は98日に減少した。アリーナを暗幕で区切り、入場者数を約2万人規模に縮小する「新モード」は市が総事業費10億円かけて整備したが、23年度の利用はわずか3日と振るわなかった。今年1月にはネーミングライツ(命名権)の売却を発表し、年間2億5000万円以上の契約を目指していたものの、売却先は決まっていない。

 ドーム社は今回の赤字を約22億円あった内部留保で補填(ほてん)した。市は例年、設備メンテナンスなど保全費に5億~7億円を支出するが、指定管理料は払っておらず、ドーム社も公費に頼る考えはないという。

 今年度は命名権の売却や新規広告枠の販売に取り組み、スポーツイベントや企業・地域団体が参加する行事を積極的に開催する。山川社長は来年3月期の決算について「トントンに近くても黒(字)に持っていきたい」と強調。秋元克広市長も20日の記者会見で「全天候型の多目的施設である強みを生かす」として市民利用を促す考えを示した。