JX金属が事業説明会、林社長「半導体金属材料総合メーカー目指す」

AI要約

JX金属の林陽一社長は、半導体材料事業を強化し、新製品開発を通じて成長を目指すと述べた。

JX金属は中期経営計画を見直し、27年度までの中長期の事業目標を設定。3千億円弱の投資を計画し、成長投資を重点とする。

半導体材料事業は、データセンターや通信機器、自動車などの需要が高く、AI機能搭載製品の普及も期待される。

 JX金属の林陽一社長は20日に開催したメディア向け事業説明会で、成長のけん引役となる半導体材料事業について「半導体用ターゲットをはじめとする半導体材料のナンバーワンポジションの確保・盤石化を図るとともに、新製品開発によって製品群を拡大し、半導体金属材料総合メーカーを目指す」と述べた。設備投資を決めた次世代半導体材料については「数年内に飛躍的に成長する見通しだ。量産化に向けては低コストの生産プロセス確立がポイントと考えている。将来的にはさまざまな種類の素材のプリカーサーを提供していくことによって事業を拡大し、フォーカス事業の柱の一つにしたい」とした。

 同社は、市場環境の変化や事業ポートフォリオの変更を踏まえ、5月に昨年公表した中期経営計画(2023~25年度)を見直し、27年度までの中長期の事業目標を設定した。中計見直しに伴う設備投資の考え方について林社長は「昨年の中計発表時に出した投資額から少し減額し、今後3年間では3千億円弱の投資を計画するが、成長投資を中心に投資していくことに変わりはない。現状の投資計画で中長期の事業目標は達成できる」と説明した。

 半導体材料事業については、データセンターや通信機器、自動車などがけん引し、今後も高い成長率を見込む。25年以降はAI機能搭載のスマホやパソコンへの買い替え需要の本格化も想定される。また、生成AIの普及でAIサーバーやGPUなどが増加し、半導体チップ内・チップ間の配線材料に加え、高速・大容量のデータ伝送に向けた光通信向け材料なども増加すると見込んでいる。

 一方、機能材料事業については、製品ポートフォリオの見直しや価格適正化、固定費削減などで収益性強化を進める。製品ポートフォリオの見直しについては「差別化がしにくく、他社でも供給可能なりん青銅の一部製品については価格などの条件次第によっては他のサプライヤーにお願いすることも検討する。他にも付加価値を高めにくい低収益製品は販売縮小を考える。一方で空いたキャパは高収益製品の供給に充てて追加の設備投資を抑制しつつ収益拡大を図る」と述べ、「昨年度のように需要が大きく落ち込んだ局面でも少なくとも数十億円の利益を出せる事業体を目指していく」と述べた。