東京の地下鉄には、なぜ分かりにくい「乗り換え駅」があるのか

AI要約

東京の地下鉄の乗り換え事情について述べられており、乗り換え駅や乗り換え方法に関する詳細が説明されている。

地下鉄での乗り換えが地下や地上で行われるケースが多く、乗り換え駅が近接していても乗り換え駅となることもある。

最近では地上で乗り換える駅も増えており、乗り換えに歩く距離が必要な場合もある。

東京の地下鉄には、なぜ分かりにくい「乗り換え駅」があるのか

 大学進学や就職などをきっかけに上京してきた人から、「東京の地下鉄は使いにくい」と言われることがある。

 筆者自身も、予備校から大学時代にかけて都内の地下鉄の乗り換えには困惑していた。大学では鉄道研究会にいたにもかかわらずだ。ある程度大人になってそれなりにいろいろと出かける用事ができて、ようやく慣れてきた状態である。

 幼少期から東京周辺で暮らし、よく都心に出てくるような生活を送っていれば東京の充実した公共交通機関を利用し尽くせるのかもしれない。しかし、そんな人ばかりではないのである。

 東京の地下鉄路線図を見ると、意外な駅が近接して「乗り換え駅」になっていることが多い。逆に、近接していても乗り換え駅になっていないところもある。

 地下鉄で乗り換え駅になっている場合は、文字通り「地下で乗り換え」のケースが多い。例えば永田町駅(有楽町線、南北線、半蔵門線)と、赤坂見附駅(銀座線、丸ノ内線)は、地下で乗り換えができる。

 しかし、そのような場合はけっこうな距離を歩かされる。国会議事堂駅(銀座線、千代田線)と溜池山王駅(南北線、銀座線)も、歩く。飯田橋駅(JR中央総武緩行線、南北線、有楽町線、東西線、都営大江戸線)などもそうだ。

 東京の地下鉄で最も多くの路線が乗り入れている駅といえば、大手町駅だ。丸ノ内線、東西線、千代田線、半蔵門線、都営三田線が乗り入れており、駅は地下のフロアを変えて井桁(いげた)のようにできている。こちらも混雑しているものの、案内が多いのでそこまで分かりにくくはないといえる。

 ここまで挙げた例は、改札を出ることがあっても地下で乗り継げるものばかりだ。地上を通って乗り換え、というものではない。

 しかし近年は、地上乗り換えの駅が増えてきている。

 2013年3月に東京メトロ日比谷線と都営地下鉄の岩本町駅が乗り換え駅になって以降、2018年3月に東京メトロ有楽町線の新富町駅と日比谷線の築地駅が乗り換え駅に、同時に東京メトロ日比谷線、都営地下鉄浅草線の人形町駅と東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅も乗り換え駅になった。2020年6月には東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線の銀座駅と有楽町線の銀座一丁目駅が乗り換え駅になった。

 また、地下乗り換えではあるが、比較的歩かなければならない乗り換えが2020年6月に誕生した。東京メトロ銀座線の虎ノ門駅と日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅である。

 なお、以前から地上乗り換えの駅として、東京メトロ丸ノ内線と都営大江戸線の本郷三丁目駅、都営浅草線と大江戸線の蔵前駅がある。蔵前駅については、都営地下鉄のWebサイトに「約270メートル」と距離まで書いてあるほどである。

 紹介した駅については地上でそれなりの距離を歩かなければならず、公式に乗り換えができると知って、初めて便利に利用できることを知った人も多いかもしれない。一方、それぞれの駅が近いことはふだん利用している人や地元住民は知っているので、地下鉄はそのあたりを踏まえた上で「乗り換え駅」として位置付けたのかもしれない。