違法な情報共有、最大手のMUFGでも発覚-銀証連携の進展に遅れも

AI要約

証券取引等監視委員会がMUFG傘下の銀行と証券2社に対し、ファイアウォール規制違反で行政処分勧告を金融庁に提出した。

顧客不利益を防ぐためのFW規制違反が指摘され、内部管理態勢の不備や顧客軽視の営業姿勢が問題視されている。

規制緩和に伴い反対派の勢いが増し、議論が続く中で業界全体に影響を与える可能性がある。

違法な情報共有、最大手のMUFGでも発覚-銀証連携の進展に遅れも

(ブルームバーグ): 証券取引等監視委員会は14日、グループ内の銀行・証券間のファイアウオール(FW)規制違反で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の傘下銀行と証券2社の行政処分を金融庁に勧告した。同様の違反は2年前に三井住友フィナンシャルグループで判明しており、銀証連携の取り組みの動きに影響が及びかねないとの指摘も出ている。

FW規制は銀行などによる優越的地位を利用した商品・サービスの押し付けなど顧客の不利益を防ぐため、顧客の同意のないまま銀証間での情報共有を禁じている。一方、銀証連携を進めるため、同意方法を個別に了承を得る形から、銀行側がグループ内での顧客情報の共有を告知し、望まない上場企業が停止を申告する形に緩和されてきた。

監視委は勧告で、三菱UFJ銀行について、グループ連携に関連して経営陣が不適切行為の発生を防ぐための内部管理態勢を構築していないなどガバナンス(企業統治)が十分に発揮されておらず、顧客軽視、収益重視の営業姿勢だと厳しく指摘した。

東洋大学の野崎浩成教授は、顧客にとって不本意な情報共有があったとすれば、「もう一度内部管理体制を適正に見直す必要がある」と述べた。

規制緩和反対派に勢いも

問題は一つの大手銀行グループにとどまらない。野崎教授は「規制を緩和しようという流れの中で明らかなルール違反の事案は極めて残念だ」と語った。銀行業界がFW規制の撤廃を求める中、反対派が勢いを増すのではないかとみている。

金融庁は2022年6月、法人顧客のうち上場企業に関するFW規制を緩和。政府はその後も緩和姿勢を示しており、非上場企業に関する規制などの議論が残されている。

監視委の担当者によると、MUFG傘下3社のFW規制違反は21年から23年の間に行われた。三井住友FG傘下の三井住友銀行とSMBC日興証券との間で、FW違反が判明したのは22年10月で、他社で同様の違法行為が発覚した後も不正行為が継続していたことになる。