「開かずの踏切」いつ解消?JR南武線高架化計画の今 川崎市内の4.5kmがついに前進、立川側でも動き

AI要約

JR南武線は立川駅と川崎駅を結ぶ35.5kmの縦糸の路線で、多摩地区の交通の要衝に位置している。

混雑や踏切の課題を抱えながらも、立川側と川崎市内での立体交差化が進みつつある。

朝ラッシュ時の混雑や危険な踏切の状況も述べられており、安全性の向上が求められている。

「開かずの踏切」いつ解消?JR南武線高架化計画の今 川崎市内の4.5kmがついに前進、立川側でも動き

 東西に延びる「横方向」の路線が多い東京郊外で、貴重な「縦糸」の路線がJR南武線。多摩地区の交通の要衝である立川駅(東京都立川市)と、神奈川県川崎市の玄関口である川崎駅を結ぶ全長35.5kmの路線だ。

 同線は、立川駅で中央線・青梅線と多摩都市モノレール、川崎駅では東海道線・京浜東北線に接続。途中駅でも京王線、武蔵野線、京王相模原線、小田急線、東急田園都市線、東急東横線、JR横須賀線・湘南新宿ラインなど数多くの路線に乗り換えられる利便性の高さから、終日利用者が多い。

■開いてはすぐ閉まる踏切

 一方で課題も少なくない。1つは混雑だ。電車が東京近郊のJR線としては珍しく短い6両編成ということもあり、コロナ前の2018年度の混雑率は埼京線や東急田園都市線、中央線快速などを上回る184%だった。ただ、コロナ禍を経た働き方の変化などで2022年度は130%まで下がっている。

 そして、もう1つは「踏切」だ。南武線はすでに尻手駅付近、武蔵小杉―武蔵溝ノ口間、稲田堤―府中本町間が高架化されているが、いわゆる「開かずの踏切」など、国土交通省が指定する「緊急に対策が必要な踏切」は同省のデータによると全線で27カ所ある。このうち、ピーク時の遮断時間が40分以上の「開かずの踏切」は14カ所だ。

 そんな中、長年課題となってきた川崎市内約4.5kmの立体交差化がいよいよ進み始めた。さらに、立川側でも高架化に向けた動きが進みつつある。

【写真】「無謀横断多発」「鳴ったら渡るな!」の看板も。南武線の「開かずの踏切」歩行者と車が列をなす朝ラッシュ時の様子(15枚)

 南武線の最混雑区間は武蔵中原―武蔵小杉間だ。平日朝ラッシュ時の7時台、武蔵小杉駅発の川崎方面行きは1時間当たり18本。反対の立川方面行きも14本ある。8時台は両方面ともさらに多い。

 開かずの踏切の1つである平間駅前の踏切には「無謀横断が多発しています」「鳴ったら渡るな!」と物々しい看板が立つ。2021年に遮断時間を極力短くする「賢い踏切」を導入した効果か、列車本数の多い朝7時~8時台でも遮断機が長時間下りたままという状態はそれほど見られない。ただ、一旦遮断機が開いても再びすぐに警報器が鳴り始める。

 歩道も狭く、踏切待ちの歩行者にとっては決して安全とはいえない。遮断機が下りる寸前にダッシュで横断する人も少なくなく、6月のある平日の朝は通りかかったパトカーに「危ないから渡らないで! やめなさい!」と注意される人の姿もあった。