AIブームが波及する電力株、北海道電など短期急騰でバブル警戒の声

AI要約

株式市場で変動の少ないディフェンシブセクターとして知られる電力株が急激な変動を示し、投機的なバブル相場の懸念が広がっている。

電気・ガス業指数のボラティリティーが過去4年ぶりの高水準に上昇し、特に電気機器指数や成長株指数を上回る状況となっている。

半導体需要の増加に伴い電力株が注目を集め、特に北海道電力や九州電力の株価が急上昇している。

(ブルームバーグ): 株式市場では変動の少ないディフェンシブセクターとして位置付けられることが多い電力株。ただ、ここ数カ月は株価の変動率が急上昇し、ベテランの市場関係者は投機的なバブル相場の色彩が強まりつつあると警戒感を強めている。

電力各社を含むTOPIX電気・ガス業指数のボラティリティーは90日平均で28%台と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に見舞われた2020年以来、4年ぶりの高水準に上昇した。世界景気に敏感で他業種よりも変動率が大きいことが多い電気機器指数を上回るほか、値動きの激しいことで知られる東証グロース市場250指数(旧マザーズ指数)の変動率も上回る水準だ。

電気は日常生活に欠かせず、需要は比較的安定していることから、電力など公益セクターの収益のぶれは比較的小さく、株価のボラティリティーも市場全体より低くなることが多い。

しかし、世界的な人工知能(AI)ブームが株式市場で盛り上がる中、恩恵を受ける可能性がある銘柄として急激に脚光を浴び始め、値動きが活発化した。過去3カ月では電気・ガス指数は20%急騰し、主要な業種別指数の中ではトップクラスの上げ幅となっている。

国内でもデータセンターや半導体工場の建設が相次ぐ中、特に上昇が目立つのが北海道電力だ。道内では現在、次世代半導体企業のラピダスが27年の稼働を目指して工場建設を進めている。最新鋭の半導体工場は大量の電力を必要とするため、道内の電力需要は大幅に増加し、泊原子力発電所の再稼働なしには賄えないとの見方からこの3カ月間で株価は2倍以上となった。

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株価純資産倍率(PBR)でも、北海道電は1倍を超え電力株の中では2位に躍進した。また、域内に台湾積体電路製造(TSMC)の製造拠点を抱える九州電力がトップとなっており、半導体関連需要への期待が電力株を動かしていることが鮮明だ。