大阪メトロの野田阪神駅が「ライバル社名」を名乗る謎 千日前線の始発駅、降車ホームに広がる異空間とは?

AI要約

大阪メトロの駅には、興味深い名前のものがいくつかある。有名なのは、谷町線の喜連瓜破駅や野江内代駅だろう。難読駅名としても知られるこれらは、両側の町の名前を組み合わせている。

四天王寺前夕陽ケ丘駅は、1997年に地名を組み合わせて現在の名前に改称された。地域のランドマーク名を採用した例も多い。

千日前線の野田阪神駅は、阪神の野田駅とJRの野田駅を区別するために命名された。実は、路面電車時代からの名残である。

大阪メトロの野田阪神駅が「ライバル社名」を名乗る謎 千日前線の始発駅、降車ホームに広がる異空間とは?

 Osaka Metro(大阪メトロ)の駅には、興味深い名前のものがいくつかある。有名なのは、谷町線の喜連瓜破駅や野江内代駅だろう。難読駅名としても知られるこれらは、ちょうど2つの町の境界上に駅があるため、両側の町の名前を組み合わせている。

■駅名になぜ「阪神」? 

 また、同社で一番長い駅名の四天王寺前夕陽ケ丘駅は、所在地をイメージしやすいという理由で開業当時は四天王寺前駅を名乗っていたが、1997年の長堀鶴見緑地線延伸開業と同時に、もともとカッコ書きで併記されていた地名を組み合わせ、現在の名前に改称された。大阪ビジネスパーク駅や動物園前駅、フェリーターミナル駅なども、地域のランドマーク名を採用した例である。

 一方、今回取り上げる千日前線の野田阪神駅は少し異質だ。見ればわかる通り、名前にほかの鉄道会社名が入っている。その理由はもちろん、阪神の野田駅がすぐ近くにあるから。ではなぜ「野田駅」にしなかったかと言えば、少し離れた場所にJR(当時は国鉄)大阪環状線の野田駅もあってややこしいからである。

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 「大阪環状線の野田駅は、千日前線の玉川駅が乗換駅となっています。野田阪神駅は、最近は阪神線よりもJR東西線に乗り換えるお客さまの方が多い印象を受けます」と、野田阪神駅の駅長を務める永井征夫さんは話す。

 おそらく、阪神電車で神戸方面に向かう利用者は千日前線に乗ってここで乗り換えるのではなく、並行する阪神なんば線を使っているのだろう。

 それにしても、名前にほかの鉄道会社名を入れるとはなかなか思い切ったことをしたものだが、実はこれ、路面電車時代からの名残なのである。大阪市電は大正時代に大きく路線網を広げたが、その際に国鉄野田駅近くの停留所を「野田駅前」、そして阪神野田駅近くの停留所を「野田阪神電車前」と名付けたのだ。