プライベートクレジットとその投資家、黄金期の終わりを危惧

AI要約

ブラックストーンのジョン・グレイ社長がプライベートクレジットの「黄金期」が過ぎ去り、市況が厳しくなっていることを指摘。

プライベートクレジットファンドが投資家に資金還元できていない事例や一部ファンドの停止も発生。

投資家はダイレクトレンディングの不透明性や借り手の行動に懸念を示し始めている。

プライベートクレジットとその投資家、黄金期の終わりを危惧

(ブルームバーグ): ベルリンで開催されているスーパーリターン・インターナショナル会議の会場に点在するホールや木造の小屋では、ディールメーカーたちが新しいビジネスを開拓するために会合を開いている。1兆7000億ドル(約265兆円)規模のプライベートクレジット市場の好況は終わったのだろうかという問いへの答えも模索している。

ブラックストーンのジョン・グレイ社長がプライベートクレジットの「黄金期」をたたえてから1年が経ち、新たな稼ぎ頭となったアセットクラスから輝きが失われつつある。バイアウトのペースが鈍化し、一部のプライベートクレジットファンドは投資家への資金返還に苦戦している。復活した銀行との競争で、ダイレクトレンダー(直接融資業者)のマージンは圧迫される。

ジェネラル・アトランティックのクレジット部門マネジングディレクター、マシュー・ボナンノ氏は「プライベートクレジットの非流動性のプレミアムが損なわれている」と指摘し、プライベートクレジットファンドに投資する年金基金や保険会社などのリミテッドパートナー(LP)には「不満があるだろう」と語った。

ファンドの中にはLPに十分な資本を還元できていないところがある。カナダの投資運用会社ナインポイント・パートナーズは先月、流動性不足に対処するためプライベートクレジットファンド3本で投資家への現金分配を一時停止した。

完全に撤退したところもある。フィデリティ・インターナショナルは先月、欧州のダイレクトレンディング業務を停止した。1本目のファンドの募集を締め切ってから1年未満だった。

運用会社自身も2023年の12%リターンに匹敵するのは難しいと認めている。

投資家はまた、ダイレクトレンディングの借り手の行動を心配し始めた。レバレッジドファイナンスで一般的な手法をほうふつとさせる動きとして、ビスタ・エクイティ・パートナーズが出資するIT教育用プラットフォーム、プルーラルサイトは担保資産を新たな子会社に移管し、ダイレクトレンダーの手から届きにくくした。