「基本給3万円増」「初任給も23万円→26万円に」米国子会社も絶好調なくら寿司、大胆賃上げが話題に。その狙いとは?

AI要約

くら寿司の子会社、Kura Sushi USAがアメリカで成功を収めていること。コロナ禍で需要が高まり、株価も上昇している。

Kura Sushi USAが提供する回転寿司とエンターテイメントショーの成功要因。日本で培った技術を活かし、アメリカ市場で注目を集めている。

日本のくら寿司が全社員に10%の給与ベースアップを実施し、人手不足への対応として好評を得ていること。

「基本給3万円増」「初任給も23万円→26万円に」米国子会社も絶好調なくら寿司、大胆賃上げが話題に。その狙いとは?

 意外に知られていない事実に、くら寿司の子会社、Kura Sushi USAの快進撃がある。同社はアメリカで2008年に設立され、2009年から寿司レストランを全米で展開している。2019年にはアメリカ・ナスダック市場に上場もしている。

■アメリカくら寿司の快進撃

 その後、世界的にはコロナ禍に突入。しかし、Kura Sushi USAにとっては追い風になった。自宅ですごす時間が増え、さらにテイクアウトやデリバリーが一般的になった。そしてハンバーガーばかりではなく、本格的な日本の寿司も食したい需要が高まった。2024年はさほど株価が好調とまではいえない。ただし、2019年からの中期的スパンで見ると、株価は爆上がりしている。

 同社は寿司を提供するだけではなく、アメリカに回転寿司というエンターテインメントショーを展開していると思ったほうがわかりやすい。

 日本で培ったハイブリッドレーン(注文した寿司が客先めがけて飛んでくるレーン)。空き皿を貯めると開始するゲーム。配膳のロボット。さらにスマホでの注文まで。レストランがライバルというより、アミューズメントパークがライバルとさえいえる。

 日本で開発し、ノウハウを培ったツールをアメリカにもっていく。そしてアメリカではこれまでにない飲食店として享受される、といった好循環を実現している。

 そして、エンタメの土台となるハイブリッドレーンの管理、ゲーム、ロボット、スマホ注文への処理、そして回転寿司の廃棄量削減のための需要管理……。これらを見ると、くら寿司とは飲食店チェーンでありながら、同時に高度なIT企業ともいえる側面を有している。

■月給3万円アップの日本くら寿司

 話は日本のくら寿司に移る。

 先日、くら寿司は全社員を対象に約10%のベースアップを実施するとした。基本給を3万円引き上げる。これは当然に初任給にも反映され、23万円が26万円になる。このすがすがしいニュースは多くに歓迎された。社会的に賃上げがブームになっていることと、人手不足感が高まっているので、理解できる経営判断としたものが多かったようだ。