繁殖しまくり「転売ヤー」をどう撃退? 極悪転売に終止符を打つための「11の対策」

AI要約

訪日外国人数がコロナ前を超え、今年のゴールデンウィークも各地で大にぎわい。しかし、入手困難になったものもあり、それが転売目的の買い占め。転売ヤーの数は増えており、撲滅に向けてのアクションが求められる。

SCMの観点から転売を読み解く。需要予測によりタイムリーに顧客ニーズに応えられるようにし、需給予測は価格の予測を目的とする。プライシングと需給バランスについても触れる。

需給の乱れを狙う転売ヤーの存在や転売の問題点に対処するため、適切な対策が必要とされる。

繁殖しまくり「転売ヤー」をどう撃退? 極悪転売に終止符を打つための「11の対策」

 訪日外国人数がコロナ禍前を超え、今年のゴールデンウィークも各地で大きくにぎわったかと思います。乗車券やイベントのチケットなどの入手も難かしかったことでしょう。しかし、通常の混雑によるものとは別の理由で、入手困難になったものもあります。それが転売目的による買い占めです。人気の製品・サービスを提供する企業やアーティストも転売を止めるよう呼びかけていますが、なかなか改善されません。むしろ転売ヤーの数は増えているように思います。そこで今回は、SCM(サプライチェーンマネジメント)の観点で転売を読み解き、撲滅に向けたアクションを考えたいと思います。

 筆者の専門である需要予測は、製造業だけでなく、小売業や外食サービス業など、さまざまな業種で必要になる機能です。消費者による購買行動の前に、いつ、どれくらい必要とされるかを商品別で予測することで、タイムリーに顧客ニーズに応えられるだけの原材料や人員、設備などを用意できるようにします(図1)。

 似た言葉に需給予測というものがあります。これは、正確には需要と供給を予測するというもので、商品を生み出さない第3者が行います。商品を通じて価値を生み出す製造業などは、需要予測に基づいて自身で供給を計画するものであり、需給予測はしません。

 需給予測は、基本的には価格を予測することが目的になります。石油の需給予測が想像しやすいと思いますが、需給バランスは価格に大きな影響を与えるため、自身でプライシングできないプレイヤーにとって需給予測は重要です。

 プライシングの方法としては、商品を供給するためにかかったコストをベースに組み立てる考え方や、競合に対抗する考え方もあります(図2)。ただ、顧客が感じる価値を的確に捉えたプライシングができれば、利益を最大化することが可能です。

 一方、需要が供給に対して大きくなった場合には、価格を上げるという選択肢が挙がってきます。これは、ある商品に対し、もう少しお金を支払ってでも購入したいと考えている顧客が一定数いると考えることもできるからです。転売ヤーはこの需給バランスの乱れを狙って利益を稼ごうとします。