自分のリソースを削られるだけで大損する…副業のプロが「絶対やめたほうがいい」と断言する副業5選

AI要約

副業が注目される中、企業の副業容認率が上昇している。ただし、副業を始める際には注意が必要で、本業との関係や適性を考慮することが重要だ。

副業の需要が高まる理由や市場の拡大、副業で避けるべき行動について紹介されている。

副業を行う際には、本業の信頼を失わないよう配慮し、時間の切り売りや相乗効果のない仕事に注意することが必要だ。

企業の副業容認率が上昇しているが、いざ副業を始めたものの、思い通りにいかなかったという声も少なくない。副業にくわしい藤井孝一さんは「副業には絶対にやめたほうがいいものがある。始める前にそれを知っておいたほうがいい」という――。

■なぜ副業への関心が高まっているのか

 コロナ禍でリモートワークが増えて、時間や場所の制約がなくなったことから、空いた時間をうまく使って副業したい人が増えています。また2018年に、国をあげて副業を増やしていこうという方向になり、それを受けて企業側も制度が改善したことから、副業がしやすくなりました。

 実際、パーソル総合研究所の調査(図表1)によると、企業の副業容認率は、21年の55.0%から23年は60.9%と上昇しています。

 さらに顧客側の意識の変化もあります。個人であれば、対面せずオンラインでサービスを受けて、それに対してお金を支払うことへの抵抗がなくなっていますし、企業としても、プロジェクトの一部分を、外部の専門家に単発で発注することが増えています。

 たとえばプログラミングやデザイン、ウェブマーケティング、イラスト、ライティング、翻訳などです。

 企業としても働き方改革などで、なかなか残業させられないので、外部の人材にお金を払ってでもお願いしようという動きもあり、そういった面からも副業をしやすくなっているという印象は強いですね。

 副業を希望する人と副業する人を求めるマッチングサービス市場も拡大しています。今後さらに普及していくと、ますます手軽に利用する人が増えるでしょう。副業に対するハードルは確実に低くなっているといえます。

■副業で絶対にやってはいけないこと

 一方、副業を行うにあたり、絶対にやってはいけないことがあります。主に次の5つがあります。

 (1) 会社の信頼を失うようなこと

 そもそも副業は、本業があるのでリスクはありませんが、唯一のリスクは本業がなくなってしまうこと。そう考えると、いちばんやってはいけないのは、本業の会社の信頼を失うようなことです。まず会社の就業規則に違反する副業はしてはいけません。

 昔は、ほとんどの会社の就業規則は「副業禁止」の一本でしたが、今は条件つきで副業を認める会社が増えています。就業時間中にやってはいけない、本業とバッティングするものはやってはいけない、危険なことはやってはいけない……、会社によってルールがきめ細かく決まっているので、まずルールを確認し、それに違反するようなことはやらないということです。

 また本業に支障が出ることも、会社との信頼関係を損ねます。たとえば夜中に作業して、寝不足になってリモート会議中に居眠りをする、リモート会議中にこっそり副業の仕事をする、さらに問題になるのは、会社の情報を持ち出すといったことです。そういう問題は少なからずあり、企業側としても、その管理について真剣に取り組んでいるようです。

 いずれも副業をしながら本業の会社との関係をしっかり維持していく。本業を裏切らないことは何よりも大切です。

 (2) 時間の切り売り

 時間や体力、気力など自分の持っているリソースを削られると、本業に支障が出ます。つまり時間の切り売りをするなということですね。

 昔の副業でいうと、居酒屋の店員や工事現場の交通整理といったアルバイトが一般的でしたが、今は食事の宅配などが人気。確かにてっとり早く稼げますが、時間もとられるし、疲れるし、実はわりに合わない。これから宅配事業で起業しようという人以外は、おすすめできません。

 (3) 次につながらないこと

 食事の宅配もそうですが、マッチングサービスによくある、翻訳やライティングなど単発の仕事も、時間の切り売りになります。こういった切り売りは、いくらやっても単価が大きく上がるわけでもありません。次につながるわけでもない仕事は、あまりやるべきではないでしょう。

 ただし、それをたくさんこなすことで実績ができて、かつ自分のスキルがアップされたら、次につながります。それならば最初の段階で、時間の切り売りも、ある程度必要になると割り切ってやるのも作戦の一つです。

 私の知り合いでコンサルタントとして活躍されている人がいます。その人も最初はコンサルタント事務所で資料づくりやおつかいなど、ずっと時間の切り売りのようなことをしていましたが結局、そこで経験したことを生かして独立しました。そういう形であれば、時間の切り売りもOKということです。

 (4) 本業との相乗効果のないもの

 副業を行う以上、本業に生かせることを行うのが重要です。たとえば副業としてセミナー講師をしている人の中に、プレゼンスキルがどんどん磨かれて、本業にもそれが生かされて、営業成績が上がったという人もいます。

 そういった相乗効果が生まれると、時間効率が格段によくなります。反対に相乗効果が生まれないものには、慎重に取り組むべきだということです。

 (5) 自分に適性のないもの、嫌いなこと

 もうかるからと人気の食事の配達やフリマサイトの転売、動画編集などは、適性や好みに大いによります。適性があれば楽しく効率的にできるけれど、適性がないと、やたら時間がかかる。まさに自分のリソースを削ってしまうことになるので、やらないほうがよいでしょう。

 たとえば筋トレが趣味で、引っ越しのアルバイトをしている人がいます。筋トレになるからといった理由でやるのはよいと思いますが、大して体力に自信もないのにやると疲弊するだけです。自分のことを知ることは、すごく大切です。