米中の国防相が1年半ぶりの対面会談 シンガポールで31日実施

AI要約

オースティン米国防長官がシンガポールを訪問中、中国の董軍国防相と会談する。会談では台湾周辺の軍事演習などに懸念を伝える見込み。

米中の防衛相会談には約1年半ぶりで、両国の安全保障課題を協議し、軍事衝突を回避する対話の重要性を確認する予定。

米国は中国の挑発的行動や南シナ海での妨害行為を批判。中国に自制を促し、地域の緊張を緩和することが課題となっている。

【ワシントン=坂本一之】シンガポールを訪問中のオースティン米国防長官は31日、中国の董軍(とうぐん)国防相と会談する。米国防総省のシン副報道官が30日の記者会見で明らかにした。米中の国防相による対面会談は約1年半ぶり。オースティン氏は会談で、中国人民解放軍が23~24日に台湾を取り囲むように軍事演習を実施したことに関し懸念を伝える見込み。

米中国防相会談では、2国間や世界の安全保障上の課題を協議し、誤解や偶発的な軍事衝突を回避するため米中間の対話の維持を確認するとみられる。

米国防総省高官は、中国が台湾の頼清徳新総統の就任に合わせ台湾周辺で軍事演習を実施したことに関し「挑発的な行動」と批判し、「台湾海峡の平和と安定」の重要性を強調している。

米側は、南シナ海での中国のフィリピン船に対する妨害行為も批判している。オースティン氏は今回の会談を通して東・南シナ海で軍事的圧力を強める中国に自制を促し、地域の緊張を緩和できるかが課題となる。

バイデン米大統領と習近平国家主席は昨年11月の首脳会談で、停滞していた国防当局・軍高官対話の再開で合意。その一環でオースティン氏は今年4月、董氏とテレビ電話会談を実施し、米中の国防相による対話を再開させていた。

オースティン氏は10回目となるインド太平洋地域への訪問でシンガポールとカンボジアを訪問。シンガポールでは31日から6月2日に開かれるアジア安全保障会議(通称シャングリラ対話)に参加し1日に演説。日米韓国防相会談なども行う。

カンボジアでは政府高官らと会談する予定だ。今回の訪問に関し米国防総省は「同盟国や友好国との関係強化」に向けた取り組みとしている。