世界の死刑執行、昨年は3割急増 1153件、イラン顕著

AI要約

アムネスティ・インターナショナルが発表した報告書によると、2023年に世界で1153件の死刑執行が確認され、前年比30%以上増加した。

イランが執行件数の74%を占め、特に麻薬や覚醒剤に関する罪での執行が増加している。執行件数は過去最も少ない20カ国で行われた。

米国でも死刑執行が行われ、バイデン大統領に死刑制度の廃止を求める声があがっている。

 【ロンドン共同】国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは29日、世界の死刑に関する年次報告書を発表した。2023年に16カ国で少なくとも1153件の執行が確認されたと明らかにした。執行件数は22年から30%以上急増。特にイランでの増加が目立った。一方、執行国数は22年の20カ国から減少し、最も少ない記録となった。

 23年に宣告された死刑判決の数は2428件で、前年比で20%増えた。

 執行件数は、イランが全体の74%を占め、前年比約1.5倍の少なくとも853件だった。報告書は麻薬や覚醒剤に関する罪で執行が増えたと指摘した。次いでサウジアラビア(172件)、ソマリア(少なくとも38件)、米国(24件)が多かった。

 米国についてカラマール事務局長は、今年1月に南部アラバマ州で窒素を吸入させる手法の死刑が執行されたことに言及し「米国の一部の州は人命を奪うことに資源や労力を割くという冷酷な意思を示した」と非難。連邦政府の死刑制度を廃止するようバイデン米大統領に呼びかけた。