90%が殺虫剤に耐性…マラリア「ゾンビ蚊」の恐怖

AI要約

気候変動の影響で蚊の活動が急増し、マラリアなど蚊の媒介疾病のリスクも高まっている。保健当局と地方自治体は警戒を強化しており、殺虫剤に耐性を持つマラリア媒介蚊が懸念されている。

マラリア媒介蚊の活動は国境地域で増加しており、蚊の繁殖に適した環境が整いつつある。蚊の活動が活発化し、早くも蚊の数が増加していることが報告されている。

国内のマラリア媒介蚊が殺虫剤に耐性を持つことが判明し、これに対処するための新しい駆除戦略が模索されている。気候変動による蚊の活動増加は、世界的な問題となっており、マラリアの制御がますます困難になっている。

90%が殺虫剤に耐性…マラリア「ゾンビ蚊」の恐怖

気候変動の影響で蚊の活動が急増し、マラリアなど蚊の媒介疾病のリスクも高まっている。特に、最近増加しているマラリア媒介蚊が殺虫剤に耐性(抵抗性)を見せていることが分かり、韓国の保健当局と地方自治体も緊張している。

27日、韓国疾病管理庁によると、11日基準で今年の採集蚊785匹のうちマラリア媒介蚊(ハマダラカ)は34個体(4.3%)であることが分かった。保健当局は、主要活動期が始まる6月を控え、マラリア媒介蚊に対する監視を強化していると明らかにした。疾病管理本部のイ・ヒイル媒介体分析課長は「昨年マラリア感染患者が急増したため、今年の夏はマラリアの拡散傾向を注意深く見守っている」と述べた。

マラリア媒介蚊の活動は、最近になって国境地域を中心に活発になっている。昨年6月にマラリア危険地域〔仁川(インチョン)・京畿(キョンギ)北部・江原(カンウォン)〕で採集した蚊のうち、ハマダラカの密度が54%で前年(25.8%)比2倍増加した。8月には採集蚊でマラリア原虫が確認され、全国にマラリア警報を下した。

特に、今年は春の頻繁な雨と気温上昇で蚊の繁殖に有利な環境がつくられ、マラリア媒介蚊の活動がさらに増加するという懸念が大きい。まだ夏が本格的に始まっていないのに、韓国国内では蚊が以前より活発に活動している。ソウル市の誘蛾灯による蚊の採集状況によると、今年5月の1-3週目に採集した蚊は429匹で、過去10年間の平均(186.8匹)の2倍を超えた。

これを受け、疾病庁はマラリアの危険地域を京畿北部などの国境地域から今年ソウル13区やソウルを取り巻く京畿地域に拡大した。ソウル市も対応に乗り出した。ソウル市保健環境研究院のパク・ジュソン院長は「最近、蚊媒介感染症の発生が次第に増加しており、多様な方式の蚊調査事業を通じて蚊媒介感染症の予防に取り組む予定」と明らかにした。

問題は、国内のマラリア媒介蚊が殺虫剤に耐性(抵抗性)を見せるという点だ。ソウル大学大学院医科学科のヨ・ソンジュ教授(熱帯感染症制御室)チームが2022~2023年、京畿道北部の非武装地帯近くで採集したマラリア媒介蚊の遺伝子を分析した結果、成虫の90%以上から殺虫剤耐性遺伝子型6種類が検出された。

韓国の優占種である「シナハマダラカ(Anopheles sinensis)」だけでなく、中国で主に発見される媒介蚊種である「Anopheles belenrae」からも殺虫剤抵抗性遺伝子が確認された。ヨ・ソンジュ教授は「Anopheles belenraeは中国でも殺虫剤の抵抗性が確認されていないが、韓国国内で初めて確認された」と話した。中国で発見されたものより多くの種類の殺虫剤耐性遺伝子が韓国国内に急速に広がっているという意味だ。

保健当局も殺虫剤の抵抗性問題にどのように対応すればいいか苦心している。現在としては蚊の殺虫剤として使える物質が多くないため、化学的な駆除にも限界がある。疾病庁の関係者は「媒介蚊が多い畜舎周辺で最大限幼虫を駆除したり、誘蛾灯などで誘導する物理的駆除などを案内している」と述べた。疾病庁は「2030年マラリア再退治実行計画」で「殺虫剤抵抗性調査で化学的駆除の効率性を見直し、新し駆除戦略の根拠をつくる計画」と述べた。

気候変動で増えた蚊の活動は、世界的な悩みの種となっている。世界保健機関(WHO)は昨年11月の報告書で、「2022年の全世界のマラリア発病事例は2億4900万件で、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の大流行時期以前の2019年より6.9%増加した」とし、「気候変動でマラリアの撲滅が難しくなっている」と明らかにした。

殺虫剤の耐性問題もマラリアとの戦いをさらに困難にする。昨年10月、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の研究チームは、国際学術誌「ネイチャー」にコンゴ民主共和国のマラリア媒介蚊の研究結果を発表し、「蚊の殺虫剤抵抗性が増加しており、マラリアの制御に深刻な脅威になっている」と警告した。コンゴ民主共和国は全世界のマラリア死亡の12%以上を占める地域だ。インド・ケニアなどマラリア危険地域でも殺虫剤の抵抗性問題が報告されている。