あんなに人気だったバーニングマンがチケット販売低迷 何があった?

AI要約

米ネバダ州の砂漠の荒野で開催される音楽とアートの祭典「バーニングマン」。チケットの売れ行きが低迷し、開催に影響が出始めている。

要因としては、過去2年の異常気象と経済的要因が挙げられる。気候の厳しさや経済状況の悪化が参加者の不参加を引き起こしている。

主催団体は、参加者に休息を取ることを奨励しており、需要に応じて販売チケット数を調整している。

あんなに人気だったバーニングマンがチケット販売低迷 何があった?

米ネバダ州の砂漠の荒野で開催される音楽とアートの祭典「バーニングマン」。

毎年夏の終わりに開催される同祭典のチケットは、販売されるやいなや、すぐに売り切れることで知られてきた。

電気も水道もガスも通っていない陸の孤島に、祭典中の7日間だけ巨大な街を作り上げ、世界各地から集まった数万の人々と過ごす経験を「一生に一度は経験したい」と思っていた人は多かったはずだ。

過去10年ほどは、メタCEOのマーク・ザッカーバーグやテスラCEOのイーロン・マスクなどの億万長者からハリウッドスター、そのほか多数の有名人やインフルエンサーなども参加しており、人気が沸騰していた。

しかし、今年は開催前から「2011年以来、初めてチケットが売れ残っている」と報じられていた。

米紙「USAトゥデー」によれば、それでも約7万人の参加者が見込まれているが、2022年の7万5069人、およびパンデミック前の2019年の7万8850人よりも減少しているという。

チケット販売の低迷の背景には何があるのか?

各紙によれば、要因は大きく2つあるようだ。

ひとつは「過去2年連続の異常気象」。

パンデミックによる2年間の中断に続いて、2022年は37度を超える猛暑に見舞われ、2023年は豪雨により開催地一帯が泥沼化した。

バーニングマンに参加するということは、ただでさえ砂漠環境ならではの強い日差しや夜間の冷え込み、砂嵐にさらされながら数日間を過ごすことを意味する。そこに異常気象が重なると状況はさらに過酷になる。

特に昨年は、あまりの豪雨だったため、しばらくイベント会場への出入りや、付近の道路も閉鎖され、約7万人が泥沼のなか数日間立ち往生した。その過酷な様子はソーシャルメディア上でも多数拡散された。

二つ目は「経済的な要因」だという。

2004年以来、毎年参加してきたというある男性は「ここ数年の天候は確かに厳しかった。そのため、僕だけでなく、多くの人にとって天候は一番の悩みの種だった」と、英紙「ガーディアン」に語っている。

「さらに今年は不安定な経済状況も関係しているだろう」

彼は「今年は参加しない」と述べており、彼のバーニングマン仲間の間でも、1~2年の不参加を口にしている人が多いようだ。

パンデミックが沈静化するにつれ、一時はイベントや旅行などへの消費者の積極的な支出がみられたが、米紙「ニューヨーク・タイムズ」によれば、その盛り上がりは現在鈍化しつつあるようだ。

インフレや住宅価格の高騰、一時解雇などで、消費者の支出熱意は全体的に低下傾向にある。

バーニングマンだけでなく、人気の野外音楽フェスティバル「コーチェラ」を筆頭に、他のイベントのチケットの売れ行きも「今年は鈍化していた」という。

また、長年バーニングマンに熱心に参加してきた「テック業界の人たち」のなかには、ここ数年の相次ぐ解雇により、経済的かつ精神的にもひどい状況に見舞われた人は少なくないと、同紙は示唆している。

バーニングマンのチケットは575ドル~(約8万3000円~)だが、駐車場への入場パスや会場までの移動費がかかる。

さらに自給自足が原則であるため、数日間分の水(1人1日あたり最低1.5ガロンの水を推奨)や食糧、応急処置キット、消火器などの持参も求められている。

主催団体はこの参加者数の低迷をどう受け止めているのだろうか?

同フェスティバルは、参加者によっては体力的にも金銭的にも負担が大きいため、バーニングマンのコミュニティでは毎年参加するよりも時々不参加という「休憩を挟むことを推奨してきた」そうだ。

非営利団体「バーニングマン・プロジェクト」の最高責任者がニューヨーク・タイムズに語ったところによれば、販売チケット数は毎年、主催者が決めており、近年は需要が高かったから増やしていただけで、「需要が下がったら、元に戻すだけ」だという。