ガザ南部ラファを現地取材 「限定攻撃」とはかけ離れた荒廃

AI要約

イスラエル軍によるラファ地区の地上攻撃について、CNN取材班が初めて取材を行った。

イスラエル軍はラファ地区を破壊した理由や成果について説明し、ハマスとの戦闘状況を報告。

ラファ地区ではハマスのトンネルや武器密輸ルートなどが発見され、イスラエル軍は対応に追われている。

ガザ南部ラファを現地取材 「限定攻撃」とはかけ離れた荒廃

(CNN) CNNの取材班はパレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファの一角を取材した。イスラエル軍が2カ月前に同都市への地上攻撃を開始して以降、外国の記者団による取材が許可されたのは初めて。

100万人以上のパレスチナ人にとって戦闘初期のころに最後の避難先となったラファのこの一角は今では見る影もない。

イスラエルはラファでの地上作戦を繰り返し「限定的なもの」と説明してきた。しかしこの地区の破壊ぶりは、ガザ北部や中部、ハンユニスで目にしたものとほぼ同じ様相を呈している。

倒壊している家屋もあれば、爆撃で破壊された建物もある。

この破壊ぶりのどこが「限定的」なのかを質問したところ、イスラエル国防軍(IDF)のハガリ報道官はトンネルや家屋にわなが仕掛けられていたり、イスラム組織ハマスが家屋から発砲したりして部隊が危険にさらされたためであり、安全を確保するためには破壊する以外に方法がなかったと説明した。

ハガリ氏によれば、取材班が入った地域が主に破壊された場所であり、ラファの他の地域はこれほど荒廃していないという。CNNはハガリ氏の主張を独自に検証することはできない。イスラエルは外国人記者がガザに単独で入ることを禁じており、立ち入るためにはイスラエル軍の同伴が必要だからだ。そして今回、同軍が記者団を案内した場所がこの地だった。

イスラエル軍が記者団を案内したのは、荒廃ぶりを見せるためではなく、そもそもなぜここで攻撃を開始したのか、何を発見し、何を達成したのかについて話すためだ。

ラファに到着するまでに通った、ガザ南端とエジプトの境界に沿った緩衝地帯(通称・フィラデルフィア回廊)ではイスラエルにロケット弾を撃ち込むためのロケット発射装置だけでなく、数十ものトンネルの立坑を発見したという。ハガリ氏が見せてくれたトンネルの立坑は、地下約28メートルに及んでいたという。

イスラエル軍によれば、フィラデルフィア回廊のトンネルはハマスがエジプトから武器を持ち込むために使われ、ガザ地区の奥深くまで入り込んでいる。ハガリ氏は、トンネルの一部はエジプトに向かって伸びているが、それらが機能しており、ガザへの武器の密輸に使われていたかどうかは調査中だと話す。エジプトはトンネルの存在を否定している。

ハガリ氏によると、イスラエル軍はラファで900人以上のハマス戦闘員を殺害し、ハマスのラファ旅団をあと少しで倒せるという。一方でどれだけの武装勢力が一時的に姿を消したかは不明だ。イスラエル軍が撤退し、長期的な戦略やガザにおけるハマスの統治に代わるものがなければ、どれだけの勢力が再集結する可能性があるかは分からない。ハマスはすでにイスラエル軍が以前撤退した他の地域でそのようなことを始めている。

ハガリ氏はラファでの地上作戦がガザでの最後の作戦になるかどうかについて明言を避け、ガザで人質がいる場所の情報や、ハマスがイスラエルに対するテロ攻撃を準備している場所の情報を得たら、同軍は急襲し、攻撃すると語った。