[社説]ソウル市庁前逆走事故、原因を明らかにして市民の不安解消を

AI要約

ソウル市庁駅前で9人が車にひかれ死亡する恐ろしい事故が発生。被害者は平凡な市民であり、市民の間で衝撃が広がっている。

犠牲者は30~50代の勤め人であり、銀行員や公務員、病院職員などが含まれる。事故の真相はまだ不明であり、警察と専門家が捜査を行っている。

市民は今後同様の事故を防ぐための対策を求めており、政府と都市は安全を優先すべきだとの意見が強い。

 1日夜、ソウル市庁駅前で、9人が車にひかれて死亡するという恐ろしい事故が起きた。事故現場はにぎやかなソウルのど真ん中で、多くの勤め人が通勤時に利用する歩道だったことから、市民の受けた衝撃はよりいっそう大きい。誰もが一度は通ったことがある道だからだ。命を落とす危険のある場所ではまったくないにもかかわらず、誰もがいくらでも惨事の犠牲者になりうるという恐怖を感じさせる。実際に、ほとんどの犠牲者が近くの職場に通う平凡な市民だった。同僚の昇進を祝う会食や一日の日課を終えて、遅くに帰宅の途についたところで事故にあったのだ。罪のない市民がとんでもない事故で命を落とすということが繰り返される現実が、本当に残念だ。

 ソウル市庁駅交差点で起きた交通事故で亡くなった犠牲者たちは、みな30~50代の勤め人だった。そのうち4人の銀行員は、同僚の昇進を祝うために夕食を共にした後、信号待ちをしていた時に惨事にあったという。昇進の喜びを分かち合い、互いの労苦をねぎらった食事の席は、彼らの最後の集いの場となってしまった。犠牲者の中には残業を終えて帰宅途中だったソウル市の公務員や、近くの大病院の職員もいるという。みな各職場で誠実に自分の仕事を終え、愛する家族のもとに帰る途中に被害にあったのだ。惨事翌日、事故現場に供えられた多くの菊の花と追悼文は、彼らの死を悲しむ市民の気持ちを代弁している。今回の事故は決して他人事ではないというのが、平凡な市民の心情だろう。

 事故を起こした車の60代後半のドライバーは、急発進事故だと主張している。いっぽう専門家は、事故時の状況が映ったCCTVの映像を根拠に、急発進の可能性は低いとみている。急発進した車はどこかにぶつかってはじめて止まるが、事故車は速度が落ち、自ら止まったということだ。しかし、このドライバーは40年のキャリアを持つバスの運転手であるうえ、事故時に飲酒状態ではなかったということを考慮すると、車の欠陥の可能性は完全には排除できない、との主張もなされている。警察はすべての可能性を念頭に、徹底した捜査によって事故原因を究明しなければならない。政府とソウル市も、今回の事故の後続対策に万全を期さなければならない。罪のない市民があきれた事故で命を落とすようなことが、これ以上繰り返されてはならない。市民は(ソウル市長の打ち出した)「光化門の大型太極旗」のような時代錯誤的な見せるための事業より、安全で平凡な日常を願っている。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )