エヌビディア「7万ドルのチップ」の隣の席をマイクロンがつかむ

AI要約

エヌビディアが次世代人工知能スーパーチップ「GB200」を発表。価格は高額で需給に余裕はない。

マイクロンがLPDDR5Xの開発で業界を驚かせ、AppleのiPhone 15シリーズに採用された。高性能メモリー製品の供給に成功。

メモリー業界の競争が激化し、特許侵害の訴訟や技術流出への警戒が強まっている。

台北国際コンピュータ見本市開幕を控えた3日、エヌビディアは次世代人工知能(AI)スーパーチップ「GB200」の量産製品を内外の一部取材陣に公開した。GB200は2個のブラックウェルグラフィック処理装置(GPU)とArmアーキテクチャーをベースにエヌビディアが独自に設計した中央処理装置(CPU)1個をつなげた次世代AIアクセラレータだ。

今年末から発売されるGB200の価格は1個当たり7万ドル(約1102万円)を超える。これすらも品物がなくて買えない。業界1位のアマゾンウェブサービス(AWS)など世界のサーバー企業はチップが作られる前に先買いに入った。

ほとんどの半導体企業はチップにロゴを刻印して自社で生産したチップであることを表示する。エヌビディアはこの日GB200のGPUにケースをかぶせており、今年の半導体業界最大の関心事のひとつだった第5世代広帯域メモリー(HBM3E)の供給会社は明らかにならなかった。ただチップ下部に当たるCPUとメモリー半導体は特別な措置なく公開された。エヌビディアのチップの隣の席をつかんだ主人公は「DRAM最強者」のサムスン電子でも、「HBMのリーダー」のSKハイニックスでもない、米マイクロンだった。

マイクロンは2022年11月に世界で初めて10ナノ級1βプロセスを使ってLPDDR5X開発を終え顧客に送ると明らかにして半導体業界を驚かせた。サムスン電子、SKハイニックスより1世代先を行く工程に最初に旗を掲げたためだ。先端DRAM工程は1x、1y、1z世代を超え、最近は1a(α)、1b(β)、1c(γ)に入り込んだ。このように作られたDRAMはHBM、DDR、LPDDR、GDDRなどDRAM基盤のメモリー半導体製品として完成される。サムスンは下半期から1b工程基盤のLPDDR5Xの量産に入る。

当時マイクロンが世界で初めて開発したLPDDR5XはアップルのiPhone15シリーズに搭載されたことがわかった。結果的にアップルに続き今度はAIのトップを走るエヌビディアまで、マイクロンが相次いで高性能メモリー製品の供給に成功した形だ。

業界では実際のDRAM性能を左右する集積度の側面でマイクロンがサムスン電子とSKハイニックスを確実にリードしたと断言するのは難しいとしながらも、少なくともメモリー3社の先端工程技術格差がほぼ完全に消えたとみる。業界関係者は「生産量と歩留まりは依然として問題が多いが、性能そのものだけ見ればマイクロンが最も先を行くという評価が多い」と話した。

一方、SKハイニックスから半導体関連特許を譲り受けた特許管理企業ミーミルIPは3日、米テキサス東部地裁と米国際貿易委員会(ITC)にマイクロンとマイクロン製品を使ったテスラ、デル、HP、レノボなどを特許侵害容疑で提訴した。SKハイニックスが最近マイクロンに転職した自社のHBM担当研究員に対し転職禁止の仮処分訴訟を提起したのに続き、メモリー業界の競争激化により技術流出に対する警戒も増している姿だ。