ウクライナ国土4分の1に地雷や不発弾、広がる民間人の犠牲…日本製除去機と支援に熱い爆発視線

AI要約

ウクライナ侵略下で露軍による地雷被害が深刻化しており、復興には地雷除去が不可欠である。

ウクライナ南部の農民が地雷による爆発で片目を失い、危険な状況が続いている。

ウクライナ内務省の報告や国連のデータから、地雷や不発弾による被害が広がりつつある実態が浮かび上がっている。

 ロシアのウクライナ侵略が続く中で、露軍が設置したとみられる地雷による民間人の被害が深刻化している。ウクライナの復興には、住宅地や農地での地雷除去が欠かせないため、日本政府も撤去への協力を進めている。(畑武尊)

 「熱い」――。衝撃音とともに足のつま先から頭まで高熱の爆風に襲われ、意識が遠のいた。4月、読売新聞のオンライン取材に応じたウクライナ南部ミコライウ州に暮らすドミトロ・エリセエンコさん(27)は、恐怖の瞬間を振り返った。

 地雷被害に遭ったのは昨年3月21日、小麦畑で農作業をするため、1人でトラクターを運転していたときのことだ。午前9時すぎ、幹線道路から小道に入った瞬間、爆発が起きた。

 意識を取り戻したとき、運転席には焦げたオイルの臭いが充満し、窓ガラスは粉々に砕けていた。外にはい出し、「手足はある」と少し安心した。視界はぼんやりとかすみ、顔は血まみれ。病院に搬送され手術を受けたが、破片が刺さった左目の視力は戻らなかった。

 一帯は2022年2月の侵略開始直後に露軍に占領された地域だ。同年秋にウクライナ軍が奪還したが、それまでの間、露軍は多数の地雷を埋設したとされる。多数の不発弾も残る。

 「農村は前線地帯だったので、まだ多くの地雷が残る。もう自分のような犠牲者は見たくない」。エリセエンコさんはそう訴えた。

 ウクライナ内務省は、ロシアが一時占領した東部や南部を中心に、国土の4分の1にあたる15万平方キロが地雷や不発弾の危険がある「汚染地域」になったことを明らかにしている。

 国連の報告では、北東部ハルキウやミコライウなどの地域で、22年秋から23年末までに地雷や不発弾の爆発で民間人131人が死亡、353人がけがを負った。

 ウクライナの民間団体「地雷処理者協会」の担当者は「どこにどんな種類の地雷があるか把握できていない」と嘆く。担当者は「処理する機材や人材が不足している。資金がなければ数十年かかるだろう」と国際的な支援を訴えた。