「支社長人件費の負担を」…韓国空港公社、ペルー空港事業で「不当権力行使」批判

AI要約

韓国空港公社がペルー・チンチェロ新空港事業に関する事業総括管理のために現地支社を設立し、支社長の人件費や航空料・住居費を民間企業に負担させていたことが判明。

支社長の関連費用が公共企業が負担すべきか、民間企業に負担させるかに対する問題が浮上し、不当な権力行使疑惑も生じている。

韓国空港公社は問題が浮上してからコンソーシアム企業と協議を行い、合理的な方向で協約を改正するとの方針を表明。

「支社長人件費の負担を」…韓国空港公社、ペルー空港事業で「不当権力行使」批判

韓国空港公社が2019年に受注したペルー・チンチェロ新空港の事業総括管理のために現地に支社を設立し、支社長の人件費と航空料・住居費の80%以上をコンソーシアムに参加した民間企業に負担させてきたことが分かった。韓国空港公社は仁川(インチョン)空港を除いた金浦(キンポ)・釜山(プサン)・済州(チェジュ)空港など国内14空港の運営の責任を負う国土交通部傘下の公企業だ。

特に韓国空港公社はこのように民間企業から受けた分担金を実際には支社長に支給せず、公社の収益として処理してきた事実も確認された。このため一部では公企業が民間業界の海外事業を支援するどころか、不当な権力行使をしたのではという批判が出ている。

韓国空港公社と関連業界によると、韓国空港公社とドファエンジニアリング、ゴンウォンエンジニアリング、ハンミグローバルの4つ企業で構成されたコンソーシアムは2019年、ペルー政府が発注したチンチェロ新空港の事業総括管理(PMO=Project Management Office)を受注した。チンチェロ新空港は世界的な観光地マチュピチュを訪問する際の関門を新しく建設する事業。

このうちPMOは発注したペルー政府の代わりに▼建設参加企業を選定する契約管理▼事業工程および品質管理▼設計の検討▼試運転など事業全般に対する業務--を引き受けることになり、総額は約350億ウォン(約40億円)だった。当時の契約はペルー政府の要請で政府間契約(G2G)で進行された。

このため公企業の韓国空港公社がコンソーシアムを代表して関連会計と行政、税務処理などのための別途の支社をペルーの首都リマに設置することになった。位置は他のコンソーシアム参加企業が支社を置く建物と同じ場所だった。韓国空港公社のイェ・ミンギュ海外事業部課長は「当初ペルーに支社を置く計画はなかったが、政府間契約で進行されて支社を設置することになった」と説明した。

この過程で韓国空港公社の支社を運営するのにかかる費用が障害となった。論議の末、韓国空港公社のペルー支社設立と運営・管理・撤収に関連して必要となる財務会計・人材投入など諸般費用をコンソーシアム構成企業が出資率に基づいて分担するという協約を結んだ。

コンソーシアムの出資比率はドファ41%、ハンミグローバル21%、ゴンウォン19%、韓国空港公社18%。これによると韓国空港公社ペルー支社運営費の82%を民間企業3社が負担するということだ。問題は韓国空港公社が要求する分担内訳だ。韓国空港公社によると、昨年のペルー支社運営経費は約3億ウォンだった。このうち支社長の人件費が1億9700万ウォンと、全体の64%に達した。

ここに支社長の住居費(約3270万ウォン)と中間帰国休暇などに必要な航空料(1540万ウォン)まで合わせると、支社長関連の費用は全体運営経費の80%を超える。残りの項目は会計諮問費(2340万ウォン)、通訳行政諮問費(3750万ウォン)だった。韓国空港公社はさらに付加価値税(18%)を含む3億6000万ウォンのうち82%の2億9600万ウォンを民間3社が分担するよう要求した。韓国空港公社の負担金は約6500万ウォンだった。

何よりも問題になる点は、韓国空港公社が派遣した支社長の人件費を民間企業が分担するのが適切かという点だ。支社長は韓国空港公社の2級幹部であり、原則的に賃金を韓国空港公社が支給しなければならないからだ。実際、海外事業が多い公企業の韓国道路公社や国家鉄道公団は支社を設立した場合、韓国空港公社とは違い、派遣役職員の人件費と航空料、住居費などは自らの予算で処理する。

匿名を求めた国家鉄道公団の関係者は「コンソーシアム協約に基づいて各種費用を分担することは可能だろうが、派遣職員の人件費まで分担の対象に入れる事例は見たことがない」と話した。別の公企業関係者は「あえて人件費を分担させるのなら、通常の賃金を除いて海外派遣のために追加で発生した費用の分担を要求するのが合理的」と指摘した。

さらに韓国空港公社は支社長の人件費分担名目によると、民間企業から受けたお金を支社長に支給したのでなく、公社の「雑利益」として処理してきたことが明らかになった。支社長の人件費と航空料、住居費は韓国空港公社がすでに自ら予算を編成して支給してきたからだ。結局、自らの予算で支社長関連費用を充当しておきながら、協約を根拠に民間企業から別に金を受け取り、収益として処理したということだ。こうした分担金が4年間で12億ウォンを超えるという。

韓国空港公社のハ・ジョンイン海外事業室長は「コンソーシアム構成企業の間で協約に基づき費用を分担したので問題になることはない」と明らかにした。しかし元国土部高官は「公企業として基本的な姿勢に問題があるようだ」とし「公企業であることを前面に出して事実上、権力を乱用したのと変わらない」と批判した。

コンソーシアム企業の間でも不満の声が出ている。ある企業関係者は「新型コロナなどで事業に支障が生じ、民間企業は少なからず損失を出ている」とし「こうした状況でも協約ばかりを前に出して支社長の人件費などの分担を要求するのは不合理」と吐露した。

波紋が広がると、韓国空港公社のイ・ジョンギ社長職務代行(副社長)は「費用分担項目や過程が国民の考えに合わない部分があるようだ」とし「近く該当企業と議論して合理的な方向で協約を改正することにした」と明らかにした。