【梨田昌孝】“新庄ハム”に食われた阪神 無死満塁で1点止まりが今のチーム事情象徴

AI要約

阪神は交流戦スタートで日本ハムに敗れ、実力差を痛感した。

日本ハムは新庄監督のもとで勝利を収め、のびのびとした野球を展開。

阪神は得点が伸びず、チームの課題が露呈した一戦となった。

【梨田昌孝】“新庄ハム”に食われた阪神 無死満塁で1点止まりが今のチーム事情象徴

<阪神2-8日本ハム>◇29日◇甲子園

 阪神が交流戦スタートから出鼻をくじかれた。パ・リーグで優勝争いに参戦する日本ハムの実力を見せつけられた形だ。

 梨田 日本ハムは新庄監督が仕込んだ試合前セレモニーから、絵に描いたような勝利だった。その“新庄ハム”を食い尽くしたい阪神だったが、逆に食われた感じだね。やりたいようにやられたし、この一戦に関しては、2年連続最下位がうそのような日本ハムの変身ぶりは、のびのび野球が伝わってきた。

 2回表1死二、三塁。左の7番石井の二遊間寄りのゴロに、阪神ショート木浪の本塁送球がそれて2点が入った(記録は野選と失策)。

 梨田 左腕大竹にあえて左の石井を起用したのが当たった。石井は速い球を打つのは苦手だが、大竹の投球にはついていけるという読みではないだろうか。また相手のエラーに付け入ったとも言えるだろう。先発伊藤が不調だっただけに先取点は大きかった。5回表の万波の2ランも1点を返された後のツーアウトからで効果的だった。逆にその裏の阪神は、無死満塁で1点止まりが、今のチーム事情を象徴した。

 阪神は5回裏無死満塁の場面、5番渡辺諒の左中間への中犠飛で1点を取るのがやっとだった。

 梨田 なかなか得点力の上がらない阪神だが、二塁走者森下は渡辺諒の打球が抜けると思ったか、三塁にタッチアップ出来なかった。あそこは三塁に進塁できるハーフウエーの距離をとっておくべきで、1点を返し、なおも一、三塁になっていれば、次打者の前川ももっと楽に打席に入れたはずだ。

 阪神は岩崎をベンチから外していたから万全ではなかった。

 梨田 そういえば新庄監督の1年目に「あの田宮って捕手に将来性を感じるです」と言われたのを思い出していた。その田宮が俊足巧打ぶりを発揮し、まだ投手に首を振られるけど、ちゃんとマスクをかぶって成長している。負け続けた新庄ハムの2年間が無駄ではなかったことを証明している。私にも経験があるが、交流戦は流れを変える“きっかけ”になりやすい。このままこういった野球を続けていけば、チームに弾みがつくし、いい結果につながっていくだろう。【取材・構成=寺尾博和】