朝6時起きで井上尚弥を観戦した結論「全てが教科書だ」　4階級上の元王者が絶賛した同業特有の視点

　ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋）に対する世界からの称賛はとどまるところを知らない。元WBO世界スーパーライト級王者のクリス・アルギエリ（米国）は米専門メディアに、井上の「基礎」の部分をクローズアップしたうえで「すべてを持っている」と絶賛。さらに父であり、トレーナーの井上真吾さんや弟のWBA世界バンタム級王者・井上拓真についても賛辞を並べている。

　米専門メディア「プロボックスTV」公式YouTubeチャンネルに登場したアルギエリ。「すべてのボクサーができることをリストアップしたとしたら、イノウエのトータルスコアはリストのトップのどこかになるはずだ。この男には何でもできる。同感かい？」と聞かれると、同業ならではの視点で答えた。

「ああ、間違いなく。イノウエの場合は基礎がすべてで、この基礎は根底からトップまで機能する。彼はすべてを完璧にこなす。素晴らしいハンドポジションで、爆発的で、優れた技術を持っている。この男に関しては、すべてが教科書だ」

　アルギエリの称賛の対象は“陣営”にも向けられる。「いつも言っているけど、彼の父は素晴らしいトレーナーだ」と真吾トレーナーの手腕を称えたうえで「イノウエにしたことだけでなく、弟タクマにも。彼も優秀なボクサーだ」と拓真の実力も高く評価。拓真については「イノウエのような活発さやパワーはないが、優れた技術があり、勝つ方法を知っている。だから、彼らは本当に良くトレーニングされている」と見定めている。

　話は井上に戻り「それにプラスしてイノウエには信じられないほどの運動能力がある」と評価。「速い足の動きがあるし、爆発的なパンチ力も。スピードを本当にうまく変えるし、アングルも変えたり、ダイナミックだ。彼はすべてをうまくやっている。彼の戦いを見るたびに、これがボクシングのあるべき姿だって思うんだ」とすっかり虜になっている様子だ。

　さらに井上の技術だけでなく“心”の部分についても言及。「それに加えて、彼は負けん気が強い。ダメージを与えて、男たちを排除しようとしている。ノックアウトできるパンチャーだし、素晴らしいジャブ、ライトハンド、アッパーカットもある。そしてボディーまでも。文字通り、ボクサーとして、そしてPFPの男にとって見たいもののすべてだ。彼はすべてを持っている」とこれ以上ない賛辞を並べている。

　アルギエリといえば、今月のルイス・ネリ（メキシコ）戦を朝6時半に起床して観戦。「非常にエキサイティングな戦いだった。122ポンド（スーパーバンタム級）の試合のために、5万人近くが東京ドームに。これはこの世のものじゃない」。さらに「米国で試合をしろ」という米ボクシング界の論調にも「だから、彼は米国に来る必要なんかないと私は主張したい」と力説するなど、熱烈な井上支持派として知られる。