何度もケガに悩まされてきたスプリンター・石川優、大学ラストイヤーで「冷静に走る」を心がけ、自己ベスト更新を狙う

AI要約

青山学院大学の石川優が関東インカレ女子100mで優勝し、自己ベスト更新を目指す大学最後のシーズンに挑む。

石川はケガに悩まされてきた過去を持ちながらも、準決勝から良いコンディションで臨み、決勝で優勝を果たす。

過去の怪我に懸念を抱きつつも、石川は冷静な走りを心掛け、自己ベスト更新を目指して取り組んでいる。

何度もケガに悩まされてきたスプリンター・石川優、大学ラストイヤーで「冷静に走る」を心がけ、自己ベスト更新を狙う

5月10日に開催された第103回関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)2日目の女子1部100m決勝で、青山学院大学の石川優(4年、相洋)が11秒75で優勝を果たした。関東インカレでこの種目を制したのは、1年生だった2021年以来。何度もケガに悩まされてきたスプリンターは、大学ラストイヤーで自己ベスト更新をめざす。

前日の予選で11秒77をマークして組1着に入り、決勝の日の午前に行われた準決勝からコンディションは良さそうだった。「準決勝のリアクションタイムがすごく良くて(0.125)決勝も悪くなかった。後半も自分の伸びを生かして、しっかり大きく走れたと思います」

5レーンに入った石川。決勝のリアクションタイムは出場8選手の中で最も早い0.148だった。スタート直後の低い姿勢での走り出しから、上体を上げたときには、すでに他の選手より前に出ていた。最後まで流すことなくゴールすると、笑顔でガッツポーズ。トラックに一礼し、同じく決勝に残っていたチームメートの佐藤葵唯(2年、市立船橋)や井上瑞葵(1年、東海大相模)と喜び合った。

「自分の中でずっと『冷静に走る』ということを心がけて、今シーズンはやっています。その結果が実って、1年生の時ぶりに優勝ができたことはすごくうれしいです。国立の高速タータンだったので、タイム的にはちょっと悔しい結果ではありますが……」。優勝を喜びつつも、自分はまだまだやれるということをにじませる、レース後の受け答えだった。

高校3年のときに日本選手権の女子100mで3位に入り、インターハイでは100mと200mの二冠。大学1年目から関東インカレで100mと200mの二冠を達成し、東京オリンピックには4×100mリレーのメンバーにも選ばれた。学生短距離界で突出した存在の石川だったが、その後は右ハムストリングスの肉離れに悩まされるようになった。

2年目の関東インカレはスタートラインに立つことができず、4月の学生個人選手権を制して復活の兆しが見られた昨年は、予選を11秒67(追い風3.6m)で通過したものの準決勝を棄権した。「2、3歩目ぐらいで肉離れをしてしまって……。その後のアップとかで動いてはみたんですけど、どうしても痛みがあって走れなかったです」。対校戦としてチームで戦っているのに、貢献できない自分がもどかしかった。

原因は「前傾気味で走ることがある」ことだと自己分析している。「前傾で前に振り出しちゃう癖があって、そうするとハムストリングスが突っ張ってケガにつながるんです」と石川。少しでも防ごうと、体幹を鍛え、腹圧をきちんと入れてから走るようになった。

昨年9月あたりからは、座骨のあたりに違和感が出るという別の悩みも出てきた。準決勝で敗れた日本インカレのときには痛みもあり、かばおうとすると、再びハムストリングスを痛めてしまうことがあったという。今でも練習は続けられているが、まだカーブを曲がるときに不安が残るため、関東インカレは100mと4×100mリレーの4走に専念した。「うまく自分と向き合いながら、ハムには絶対に負担がかからないようにやっています」