赤旗&2度のSCと大荒れの一戦で19歳バーナードが初優勝。マローニはリタイア/FIA F2第5戦モンテカルロ決勝レース1
5月25日、2024年FIA F2第5戦モンテカルロのスプリントレースで、19歳のテイラー・バーナードが初優勝を果たす。
大荒れのレースではポイントリーダーのゼイン・マローニがリタイアし、宮田莉朋は17位に終わる。
レース中に複数回のセーフティカー導入や赤旗中断など波乱含みの展開となる。
5月25日、2024年FIA F2第5戦モンテカルロのスプリントレース(決勝レース1)が行われ、赤旗中断も挟む大荒れの一戦となるなか、19歳のテイラー・バーナード(AIXレーシング)がFIA F2初優勝を飾った。
ポイントリーダーのゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)は今季初リタイア、宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は17位となった。
F1モナコGPのサポートレースとしてモンテカルロ市街地コースで迎えた第5戦。今大会の予選はAとBの2グループに分かれて実施され、スプリントレースの上位10グリッドはリバースグリッドにより、予選Bグループで5番手タイムを記録したバーナードが獲得した。
フロントロウ2番手に前年のFIA F3王者のガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)が並び、2列目3番グリッドにFIA F2参戦3年目のデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)、4番グリッドにF1昇格も噂されるアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が続いた。
気温21度、路面温度52度と高めのコンディションのなか、タイヤ交換義務のない30周のスプリントレースはスタートを迎えた。上位勢はアクシデントなくターン1(サン・デボーテ)を通過するも、9番グリッドからスタートで出遅れたビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)がターン1でクラッシュし、早々にセーフティカー(SC)導入となる。
レースは3周目に再開するが、5周目のターン16(プールサイドシケイン出口)の立ち上がりで15番手走行中のジョセップ・マリア・マルティ(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がクラッシュし、2度目のSC導入に。
ひとつのミスがレース終了を意味するモナコ・モンテカルロらしさ漂う荒れた序盤を経て、9周目に再びリスタートを迎えた。ただ、10周目には12番手のリチャード・フェルシュフォー(トライデント)がジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)の追突を受け、フロントウイングの部品がコース上に落下したためバーチャル・セーフティカー(VSC)が入ることに。
なお、デュルクセンに対しては10秒のタイムペナルティが下ることに。VSCは12周目に解除されると、13周目にはオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)が最終ターン19(アントニーノーズ)でバリアにヒット。しかし、目立ったダメージはなく、ベアマンは11番手をキープしながら12番手のマローニを抑える。
しかし、20周目のターン8(ポルティエ)でベアマンが電気系のトラブルがあったか、一瞬失速。その間にファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)、クッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成)に先行を許し、14番手に後退する。
一方、22番グリッドからのスタートとなった宮田は、19番手を走行中の18周目にピットイン。タイヤを履き替えてコースに戻ると、自己ベストタイムを更新する走りを見せる。
レース終盤、各車タイヤが厳しくなる状況のなか、2番手のボルトレートはペースが上がらず、3番手ハウガーがオーバーテイクのチャンスを伺う展開に。しかし、モンテカルロの波乱は続いた。
24周目のターン18(ラスカス)で12番手のマローニがブレーキロックから11番手ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)にわずかにヒット。そのマローニのリヤに、13番手ファン・マヌエル・コレア(ダムス・ルーカスオイル)が追突し、マローニはエンジンストップとなり、今季初リタイアとなる。マローニと行き場を失ったマイニの2台がコースを塞ぐかたちとなり、レースは残り6周というタイミングで赤旗中断となった。
約17分の赤旗中断を経て、SC先導で各車コース入りし、残り5周となった26周目にローリングスタートでレース再開を迎えた。
バーナードを含め、赤旗の間にオプションタイヤ(スーパーソフト/パープル)に履き替えたドライバーもいるなか、翌日のフィーチャーレースを見据えて、プライムタイヤ(ソフトタイヤ/レッド)のまま走行する2番手ボルトレートはバーナードから一気にギャップを開けられることに。
2度のSC、1度のVSC、そして赤旗中断からのローリングスタートと、モナコらしい大荒れの展開となるなか、イギリス出身の新人バーナードがFIA F2初優勝を飾った。2023年にはイェンツァー・モータースポーツからFIA F3に参戦し、同チームにとっては2019年の角田裕毅以来4年ぶりのFIA F3優勝を飾っていたバーナードだが、今回はAIXレーシングに初めてのFIA F2初優勝を送る結果となった。
2位ボルトレート、3位ハウガーまでが表彰台を獲得。4位にアントネッリと、トップ4はスタート順位から変動なくチェッカーとなった。なお、ファステストラップは赤旗中にオプションタイヤに履き替えたアントネッリがファイナルラップに獲得している。宮田は17位で完走を果たし、フィーチャーレース(決勝レース2)に向けて走行経験を重ねた。
続く、フィーチャーレースは5月26日の日本時間16時40分(現地時間9時40分)から、タイヤ交換義務を有する周回数42周、もしくは60分+1周で争われる。
■2024年FIA F2第4戦モンテカルロ スプリントレース暫定結果
Pos./No./Driver/Team/Time/Gap
1/25/T.バーナード/AIXレーシング/1h04’20.946
2/10/G.ボルトレート/インビクタ・レーシング/5.246
3/11/D.ハウガー/MPモータースポーツ/5.817
4/4/A.アントネッリ/プレマ・レーシング/8.213
5/12/F.コラピント/MPモータースポーツ/10.857
6/23/R.スタネ/トライデント/13.594
7/17/P.アーロン/ハイテック・パルスエイト/15.085
8/20/I.ハジャル/カンポス・レーシング/15.495
9/14/E.フィッティパルディ/ファン・アメルスフォールト・レーシング/16.890
10/2/Z.オサリバン/ARTグランプリ/17.752
11/3/O.ベアマン/プレマ・レーシング/18.334
12/8/J.コレア/ダムス・ルーカスオイル/18.830
13/7/J.クロフォード/ダムス・ルーカスオイル/19225
14/16/A.コルデール/ハイテック・パルスエイト/22.049
15/15/R.ヴィラゴメス/ファン・アメルスフォールト・レーシング/24.054
16/22/R.フェルシュフォー/トライデント/24.327
17/6/宮田莉朋/ロダン・モータースポーツ/25.203
18/24/J.デュルクセン/AIXレーシング/25.915
-/5/Z.マローニ/ロダン・モータースポーツ/DNF
-/9/K.マイニ/インビクタ・レーシング/DNF
-/21/J.マルティ/カンポス・レーシング/DNF
-/1/V.マルタンス/ARTグランプリ/DNF
・ファステストラップ:アンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング) 1分22秒333(30/30)
[オートスポーツweb 2024年05月25日]