【バレー】「セッター会」で相手を分析 岩崎こよみの熱い言葉で団結力アップ/広報リポート

AI要約

女子代表はVNL予選で3連勝し、五輪切符獲得に向けて歩みを進めている。

初戦のトルコ戦で35歳の岩崎こよみ選手が司令塔として活躍し、勝利に貢献。

岩崎選手のチームへの感謝の気持ちが団結力を高め、選手たちを鼓舞している。

【バレー】「セッター会」で相手を分析 岩崎こよみの熱い言葉で団結力アップ/広報リポート

<女子日本代表広報リポート 第2回>

 バレーボール女子日本代表の坪崎亜希子広報がお届けする「女子日本代表広報リポート」の第2回。代表チームの舞台裏や秘話を交えながら、パリオリンピック(五輪)に向けて広報の視点から選手情報やトピックを紹介します。

  ◇ ◇ ◇

 トルコ・アンタルヤで行われたネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド第1週。女子代表は、4月のキックオフ会見で真鍋政義監督が「初戦の5月15日からスタートダッシュを切りたい」と話していた通り、開幕から3連勝。4戦目ポーランド戦で敗れたものの、五輪切符獲得へ一歩ずつ歩みを進めています。

 開幕戦となった世界ランキング1位のトルコ戦はフルセットの激闘でした。会場は完全アウェーで、日本がサーブを打つ際には大ブーイングが起こってホイッスルの音が聞こえなかったと話した選手もいたほど。そんな状況の中、日本は粘り強く戦い、格上相手に大きな1勝を手にしました。

 この試合、司令塔としてスターティングメンバーに名を連ねたのは、チーム最年長35歳の岩崎こよみ選手。高校時代はアタッカーで、Vリーグに入ってからセッターに転向。結婚・出産を経験し、3歳の息子がいるママさんプレーヤーです。

 トルコ戦後、スターティングメンバーでコートに入った思いを聞くと「緊張しました。日の丸を付けてプレーするなんてもうないかもしれないので、思い切ってやろうと考えたら落ち着きました。この1戦にたくさんの時間をかけて準備してきたので、このムードをキープして戦えたらいいなと思います」と率直な思いを教えてくれました。

 岩崎選手が話す「準備」のひとつが「セッター会」です。これは、同じセッターの関菜々巳選手と真鍋政義監督、高橋駿オフェンスコーチ、渡辺啓太戦略コーディネーターの5人で相手チームのブロッカーの付き位置などを確認する会。チームがトルコ入りしてから初戦までに複数回行い、開幕戦前日にも21時からおよそ30分間行われました。「セッターはコート上の監督」と表現する真鍋監督。入念に相手チームの研究を行い、トルコ戦では落ち着いたトスワークで勝利に導きました。

 幸先の良いスタートを切り、チームはとても明るく良いムード。そんな雰囲気は、初戦翌日の選手ミーティングで、さらに高まりました。

 岩崎選手が選手全員の前で、ある思いを話し始めました。

 「私が言いたいのは…、いつもいつも、我慢強くカバーしてくれてありがとうございます。今すぐ完璧なコンビができるわけではないですけど、試合の中でもっとも良くなるようにしていくので、みんなで頑張りましょう」

 この言葉を聞いた選手たちの表情には自然と笑みがこぼれ、かみしめるようにうなずく姿もありました。ミドルブロッカーの渡辺彩選手は、「大人だなって思って。自分もそうやって言ってくれると、絶対打ちたいと思うし、お互い支え合いなのだなと感じました」と気持ちを高めた様子でした。

 パリ五輪の出場権がかかるVNL。思いがつまったこの言葉が、団結力を1段階も2段階も引き上げたように感じました。岩崎選手は「自分は短い準備期間だったので、思うようなコンビができていない時もあって心からそう思っています。みんなに感謝を伝えて、あとは思い切りやろうと思いました」と、込めた思いを明かしました。

 それぞれの選手が人生を懸けて戦う真鍋ジャパン。次週は中国・マカオに場所を移し、五輪切符獲得に向け、ONE TEAMで戦います。

 ◆坪崎亜希子(つぼさき・あきこ)1993年(平5)6月25日、北海道千歳市生まれ。小5からバレーボールをはじめ、高3までバレーボール部に所属。現在は番組制作会社に勤務し、日本バレーボール協会広報部撮影班として女子日本代表チームに帯同中。