バレー石川祐希、王者への加入決めた覚悟の背景。日本のSVリーグ、欧州王者への思い「身長が低くても世界一になれると証明したい」

AI要約

2023-24シーズン4冠の名門――。バレーボール男子日本代表を主将として牽引する石川祐希が新たな移籍先に選んだのは、世界最高峰のイタリア・セリエAで王者に君臨するペルージャだった。

かつて自ら「高さは正義」と語っていたことがある。そのバレーボールでも、日本人選手はまだまだ高みへ行ける。

石川の10シーズン目となる2024-25シーズン、ペルージャへの移籍を果たすことになる。

イタリアのトップ4チームでプレーし、リーダー格としてチームをまとめてきた石川祐希。ペルージャは世界クラブ選手権、イタリアスーパー杯、コッパ・イタリアとの4冠を達成し、その“王者”に石川が加わることになる。

石川のプロ選手としての道のり、特にイタリアでの成長や挑戦に焦点を当てた記事。

石川祐希はモデナでの短期留学をきっかけに、セリエAへの興味を持ち、高い志を胸にトップリーグでの成功を目指してきた。10年がかりの努力の末、イタリア王者への移籍を果たす。

バレー石川祐希、王者への加入決めた覚悟の背景。日本のSVリーグ、欧州王者への思い「身長が低くても世界一になれると証明したい」

2023-24シーズン4冠の名門――。バレーボール男子日本代表を主将として牽引する石川祐希が新たな移籍先に選んだのは、世界最高峰のイタリア・セリエAで王者に君臨するペルージャだった。日本の「SVリーグ」のチームからのオファーもあったと認める石川が語った胸の内とは? 改めてこれまで“日本のエース”石川祐希が歩んできた道のりを辿ると、自らの価値を証明し続けてきた男の確かな足跡が見えてきた。

(文=米虫紀子、写真=PA Images/アフロ)

かつて自ら「高さは正義」と語っていたことがある。そのバレーボールでも、日本人選手はまだまだ高みへ行ける。プロバレーボールプレーヤー石川祐希は、それを証明し続けている。

主将として日本代表を世界ランキング4位にまで引き上げただけでなく、世界最高峰のイタリア・セリエAで9シーズンをかけて着々と結果を積み上げ、自身と日本人選手の評価を高めてきた。

そしてついに10シーズン目となる2024-25シーズン、セリエAのトップチーム、ペルージャへの移籍を実現させた。

ペルージャは2023-24シーズン、イタリア代表の主将でセッターのシモーネ・ジャネッリ、ポーランド代表のウィルフレド・レオン、カミル・セメニウクといったスター選手を擁し、セリエAのプレーオフ準決勝で石川の所属していたミラノ、決勝で髙橋藍のいたモンツァを破り優勝。世界クラブ選手権、イタリアスーパー杯、コッパ・イタリアとの4冠を達成した。日本のエースが、その“王者”の一員に加わることになる。

石川とイタリアの縁がつながったのは中央大学1年の時。セリエAの強豪チーム・モデナに短期留学したのが始まりだった。

モデナのあるエミリオ・ロマーニャ州は広島県との交流が盛んなこともあり、当時モデナは日本人の若手選手の獲得を目指していた。そこで、ユース代表で活躍していた石川に白羽の矢が立った。それまで海外リーグに興味を持ったことがなかった石川は、「セリエAというリーグ自体知らなくて、強いリーグなのかもわからない、まったく無知な状態だったんですけど、『どんな感じだろう?』と興味がわいて」モデナに行くことを決断した。

当時のモデナにはブラジル代表セッターのブルーノ・レゼンデやフランス代表のアウトサイド、イアルバン・ヌガペトなど各国の代表選手が揃っており、シーズン途中に合流した石川が試合に出場する機会は少なかったが、大きな刺激を受けた。以来、イタリアのトップ4、モデナ、ペルージャ、トレント、チビタノーバのいずれかのチームでレギュラーとして優勝争いをすることが目標となった。

まずは試合に出られることを最優先に考え、2016-17シーズンにセリエAの下位チームだったラティーナへ。そこからシエナ、パドヴァ、そしてミラノへとステップアップしていった。大学を卒業してプロ選手になってからは「目標は世界一のプレーヤー」と公言するようになった。

4季所属したミラノでは、リーダー格としてチームをまとめ、2022-23シーズンは4位、2023-24シーズンは3位に。チームを勝たせられる選手となり、ペルージャに迎えられた。セリエAのトップ4の勢力図は変わってきているが、その中でもペルージャは安定して高い成績を残しているチームだ。