大横綱上回る驚異の生涯勝率88・2%…春場所V尊富士が十両11枚目4連勝も「エンジンないんで」

AI要約

尊富士が4連勝し、金星2個などの実績を持つ友風を引き落とす。

尊富士は逆に突破力を見せ、相手を吹っ飛ばす規格外の相撲を披露。

勝率88・2%を誇る尊富士は、勢いが止まらず、今後も期待される。

大横綱上回る驚異の生涯勝率88・2%…春場所V尊富士が十両11枚目4連勝も「エンジンないんで」

<大相撲秋場所>◇4日目◇11日◇東京・両国国技館

 110年ぶりの新入幕優勝を果たした春場所以来、初日から出場している西十両11枚目の尊富士(25=伊勢ケ浜)が、4連勝を飾った。金星2個などの実績がある友風を引き落とした。十両では3人となった無敗を守った。途中休場による不戦敗を除くと、22年秋場所の初土俵から相撲を取って負けたのはわずか10度。名だたる横綱を上回る生涯勝率88・2%は、まだまだ上昇しそうな勢いだ。

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 鋭く突き刺すような、いつもの立ち合いではなかった。だが、それが逆に、尊富士の成長、強さを際立たせた。友風の突っ張りを、よく見て下からあてがい、タイミング良くいなした。すると前のめりの相手は、そのままばったり。下がって引いたのではなく、体勢を立て直すための横へのいなしだったが、筋骨隆々のパワーで吹っ飛ばす規格外の相撲を披露した格好だ。

 「立ち合いは警戒した。はたいてくるイメージがあったので、むきなって押さずに落ち着いて攻めることを心掛けた。突き、押しも強い相手なので」。実績のある初顔の相手とはいえ、取りこぼしはできない。その中で持ち前のスピードはそのまま、わずかに慎重な立ち合いを選択できる、引き出しの多さが今はある。

 これで初土俵以来、不戦敗を除く勝率は驚異の88・2%となった。「大横綱」と称されることが多い、優勝20度以上の歴代横綱6人と比べても、勝率の高さは突出。「大横綱」の勝率は高い順に大鵬が83・44%、白鵬が83・36%、朝青龍が79・8%、貴乃花が75・7%、北の湖が73・5%、千代の富士が70・9%。同世代で同じくスピード出世の大の里でも75%だから、突出ぶりを物語っている。

 今場所中どころか、来場所幕内下位に復帰しても、土俵で11敗目を喫する姿が想像できないほどの勢い。5日目から15連勝で到達する勝率90%も可能性十分。4連勝も「気持ちは若々しく頑張るだけ」と気を引き締めた。「ここからエンジン全開? いや、エンジンがないんで(笑い)」。エンジンの例えでは通じないほど、爆発的な強さを備え始めている。【高田文太】