英3部入り「衝撃」移籍も…J主力タレント流出の是非、代表未経験でも広がる“受け皿”【コラム】

AI要約

日本人選手の欧州移籍が増加しており、Jリーグから有望な選手たちが海外で活躍していることが注目されている。

日本人選手の安定供給力や才能の高さが、欧州クラブの目に留まり、多くの選手がステップアップを果たしている。

移籍後も成功を収める日本人選手が増えつつあり、長い間幅広いリーグでプレーする選手たちが増加している。

英3部入り「衝撃」移籍も…J主力タレント流出の是非、代表未経験でも広がる“受け皿”【コラム】

 この夏はJリーグで活躍が目立っていたタレントの海外流出が目立っている。川村拓夢(サンフレッチェ広島→レッドブル・ザルツブルク)や佐野海舟(鹿島アントラーズ→マインツ)、毎熊晟矢(セレッソ大阪→AZアルクマール)のような、直近の日本代表に招集経験のある選手、パリ五輪に出場した平河悠(FC町田ゼルビア→ブリストル・シティ)はもちろん、そうしたA代表経験がなくても28歳にして欧州移籍を果たした大橋祐紀(サンフレッチェ広島→ブラックバーン)のように、Jリーグでの活躍が認められて欧州移籍を果たすケースもここ数年で増えている。

 理由はいくつか考えられるが、日本人選手の安定供給力は見逃せない。言うまでもなく、海外で挑戦する日本人選手がすべて順調にステップアップできるわけではないが、ベルギーからドイツ、プレミアリーグ屈指の名門リバプールへと飛躍した遠藤航、シュツットガルトのU-23からトップチームに上がり、そしてバイエルン・ミュンヘンに飛躍したDF伊藤洋輝を代表例として、数多くの選手が最初に所属したリーグやクラブから飛躍を果たす選手の件数も増えてきている。

 佐野のように、Jリーグから5大リーグの1部クラブにいきなり引き抜かれる件数は多くないものの、欧州の第2勢力とも言えるオランダ、ポルトガル、ベルギーでの日本人選手の人気は高まっており、ベルギー1部では日本代表の谷口彰悟やパリ五輪代表GKの小久保玲央ブライアンが加入したシント=トロイデンや、伊藤敦樹が浦和レッズから移籍したヘント、高嶺朋樹が柏レイソルから移籍したコルトレイクなど、日本人選手が所属していないクラブを探すほうが難しいぐらいだ。さらに、ここに来て非EU選手の保有条件が緩和されたイングランドの2部に相当するチャンピオンシップなども、日本人選手をターゲットにしてきている。

 現在は新天地のブラックバーンでいきなりゴールラッシュを見せている大橋や平河のほか、昨シーズンはプレミアリーグでデビューした橋岡大樹(ルートン・タウン)、角田涼太朗(カーディフ・シティ)、坂元達裕(コベントリー・シティ)、斉藤光毅(クイーンズ・パーク・レンジャーズ)の6人が在籍しており、遠藤や冨安健洋(アーセナル)、三笘薫(ブライトン)、菅原由勢(サウサンプトン)、鎌田大地(クリスタル・パレス)が在籍する世界最高峰のプレミアリーグ昇格を目指して、しのぎを削る。また海外移籍のために川崎フロターレを離れた瀬古樹の行き先はやはりチャンピオンシップのストーク・シティであると伝えられる。

 大手データサイト「オプタ」の独自調査による世界のリーグランキングによると、チャンピオンシップは6位で、オランダ、ポルトガル、ベルギーの1部より上に位置している。ちなみにJリーグは25位に評価されていた。そうした流れにあっても、今シーズンのJ1でブレイクした21歳の横山歩夢が、夏の市場でサガン鳥栖からイングランド3部に相当するリーグワンのバーミンガム・シティに移籍したのは衝撃的だった。バーミンガムはチャンピオンシップから降格した古豪で、日本代表経験のあるMF三好康児も所属しているが、横山のようなJ1でブレイクしたての選手が、イングランド3部のクラブに買われてしまうという現状はやはり複雑なものがある。

 今シーズンのJ1で、首位のFC町田ゼルビアをはじめサンフレッチェ広島、鹿島アントラーズ、C大阪、FC東京、浦和、川崎、柏、鳥栖から日本人の主力選手が夏に海外移籍している。こうした選手の移籍はリーグ戦の順位争いに少なからず影響を及ぼしており、こうしたシーズン途中での主力の海外移籍が、リーグとしての面白味を削ぐ要素になっていると指摘する声も多く見られるのは実情だ。こうした傾向は秋春制に移行することで、多少なり緩和されるかもしれないが、そうした選手たちの移籍のタイミングがシーズン中か、シーズンオフかの違いであり、大量の選手が国外に流出する傾向はむしろ加速するかもしれない。