<青赤のピッチサイドから>FC東京のPR 街を青赤に/11

AI要約

FC東京が東京都内各地で存在感を示すプロモーション活動が盛んに行われている。

歩道橋の階段やデパート、駅構内などに選手やチームの広告が掲示され、ホームタウンへの愛着やサポーターへの感謝が示されている。

地元企業との連携や新しいPR施策を展開することで、FC東京のファン層拡大とチームへの支持を促進している。

<青赤のピッチサイドから>FC東京のPR 街を青赤に/11

 「東京は、青赤」

 京王線新宿駅構内の大型モニターに力強い言葉が映し出されている。

 新宿だけでなく、味の素スタジアム周辺をはじめ、ホームタウンが青赤に彩られている。最近、FC東京の存在を強く感じる場所が増えている。

 6月中旬、京王線飛田給駅から味の素スタジアムへと続く歩道橋の階段に「You’ll Never Walk Alone」「東京が熱狂」という文字が現れた。企画を担当したのはFC東京エリアプロモーション部の八木憲一さん(44)。今年4月からFC東京に出向する東京都調布市役所の職員だ。

 歩道橋の階段は、映画祭で俳優や監督らが歩くレッドカーペットをイメージした。サポーターがスタジアムへ向かう際に、高揚感を演出するのが狙いという。そして、「FC東京とファン・サポーターの代名詞『ユルネバ』を使いたいと真っ先に考えた」と話す。

 1998年のサッカー・ワールドカップ・フランス大会。八木さんはマイケル・オーウェンさんのプレーに目を引かれた。当時、所属していたのがイングランド・プレミアリーグのリバプール。そして、サポーターに歌われていたのが「ユルネバ」だった。

 「この歌は世界中さまざまなチームで歌われていて、サッカーファミリーがつながるような存在」と愛着を話す。階段には「調布市はFC東京を応援しています」とも書かれ、まさにホームタウンが一体となってチームを応援している。

 飛田給駅から味の素スタジアムに続く「スタジアム通り」では、2022年から1年を通して選手の顔写真が掲げられている。以前は試合日以外、都内各所に掲示している定番のバナーだったが、調布市の協力を得て通年掲示が実現した。

 イベント部の原直之さん(32)は「実は、選手の並び方にもこだわりがある」と教えてくれた。今年はまず年齢でグループ分け。駅北側のロータリーを回り込み、スタジアム通りへと合流する地点には、中心的存在の長友佑都選手と東慶悟選手を配置。ベテランがサポーターをお出迎えして、そこから若手選手らが並ぶ。スタジアムへと続く歩道橋には仲川輝人選手、森重真人選手、ピーター・クラモフスキー監督がどっしりと並んで最後を締めている。

 8月に話題となったのは調布駅前に現れたディエゴオリベイラ選手。ランドマークの調布パルコに全長約20メートルの巨大な懸垂幕がかかっている(台風7号の影響で17日まで掲出を一時中断)。担当した原さんは「普段の景色とは違う『違和感』を作ることができたらと考えた」という。

 これはFC東京と調布パルコ、トリエ京王調布が行っているイベントの一環。18日までの期間中、対象店舗で青=COOL(涼感)と赤=HOT(辛い)の食事メニューを楽しむことができる。他にも、今年はFC東京オリジナルクラフトビール第2弾を発売。地域飲食店での提供を始めるなど、チームの存在感を高める試みを次々と打ち出している。

 京王電鉄とはオフィシャルパートナー契約を結び、新宿駅以外でもPRに力を入れている。多くの人が行き交う井の頭線では、吉祥寺駅の大型モニターにプロモーションビデオを流して試合を告知。下北沢駅では改札内外のデジタルサイネージ(電子看板)を使い、若者をターゲットに新規ファン獲得を狙う。

 しのぎを削るリーグ戦の裏側で、PR活動はホームタウン、企業、クラブが三位一体となって行われていた。活動に携わる人たちは願う。スタジアムにひとりでも多くの人が足を運び、勝利に歓喜し、大声でチャントを送ってほしい。

 「東京 眠らない街 青と赤の俺らの誇り」【藤井達也】