U-23日本代表 パリ五輪メンバー発表 大岩剛監督会見要旨

AI要約

東京五輪を最後に28年ぶりに再びオリンピックに出場するU-23日本代表のメンバー18人とバックアップメンバー4人が発表された。

大岩監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが会見し、チームの準備や意気込みについて説明した。

18人はアジア杯での経験豊富な選手が多く、パリ五輪で金メダルを目指す決意を示している。

U-23日本代表 パリ五輪メンバー発表 大岩剛監督会見要旨

 日本サッカー協会(JFA)は3日に都内で記者会見を行った。パリオリンピックに臨むU-23日本代表メンバー18人とバックアップメンバー4人を発表した。会見では大岩剛監督と山本昌邦ナショナルチームダイレクターが質問に答えた。

 U-23日本代表は今月中旬にフランスに渡り、17日に最後の親善試合で開催国U-23フランス代表と対戦。パリ五輪のグループリーグでD組に入り、今月24日の初戦でパラグアイと対戦する。27日の第2節はマリと、30日の第3節ではイスラエルと戦い、グループ上位2チームが準々決勝に進む。

●山本昌邦ND

「いよいよメキシコオリンピック以来28年間オリンピックにすら出られなかったこのオリンピック代表チームが、28年連続で出場することとなった。そして、節目のタイミングだと思っている。海外で活躍する選手もこれだけ増えた。そのなかで18人のメンバー、そしてバックアップの4人、このメンバーで世界を、オリンピックのメダルに挑むことになる。ぜひ皆さんのお力をお借りして、目標をしっかり達成できるように支えていきたい。招集の面でさまざまな苦労がありましたが、これは日本サッカーの進化であり、成長であり、躍進の賜物だと思っている。この選ばれたメンバーで限りなく高いところを、大岩監督を中心に挑んでくれると思う。皆さんにもご指導ご協力いただけたらと思っている。この大会で日本サッカーの真価を世界に証明したいと思っている」

●大岩剛監督

「今回のパリオリンピックに向けての選手選考、招集にあたって、各クラブの関係者の皆さんにご協力を得られました。非常に感謝している。その気持ちをしっかりと胸に、パリオリンピックに向けて、選手、スタッフ、一体となって、オリンピックに向かっていきたい」

──オーバーエイジ(OA)を選出しなかった決断に至った経緯は何か。そのうえで18人をU-23年代から選ぶうえで重視した点や迷った点は何か。

大岩監督

「皆さんご存じのように、いろいろな制限があるなかで、われわれがいま現在U-23日本代表として、パリオリンピックを迎える、そして招集することのできる、最高の18人プラス4人のバックアップメンバーを選んだつもりでいる。毎回活動ごとに言っているが、そのときそのときで集合できた選手がそのときのU-23日本代表だということを、発足当初から言い続けてきた。今回も変わらず、いま現在で招集できるベストなメンバーを招集した。このメンバーでパリオリンピックを戦う。それが率直な気持ち」

──18人を決断したタイミングはいつだったか。松木玖生(FC東京)が外れた理由は何か。

大岩監督

「今回は選ばれた選手たちのお話をぜひさせていただきたい。決めたタイミングだが、昨日が登録の期限だった。昨日スタッフ全員でミーティングをして最終決定をした」

──OAはあえて呼ばなかったのか。交渉が難航したのか。U-23世代で挑むのは2008年北京五輪以来になるが、U-23世代で挑む意味は何か。

大岩監督

「最初の質問の答えと同じだが、OAも含めて、いま現在招集可能な選手たち、ベストと思われる選手たちを招集したつもりでいる。U-23の選手たちで戦ったアジア杯でわれわれはチャンピオンになった自信と誇りを持って、パリオリンピックに向かいたい。OAがいるいないは別として、いま現在招集できる日本代表という責任を持って、パリオリンピックに向かっていきたい。その一心で現在いる」

──OAで日本サッカー協会(JFA)として交渉しているなかで参加可能だった選手はどれほどいたのか。

山本ND

「非常に未来に向かって重要な質問。OAの現場からの希望は当然あった。一年以上かけて海外組の調整というところは進めていた。選手の意思、クラブの了承を得なければいけない。一方で、移籍が関わってくると、現クラブとその先のクラブが7月から始まるところで、その確認を取らなければいけない。さまざまな要因が絡まって、日々この時期ヨーロッパのマーケットは動いているので、選手の行先、状況、移籍先が決まらなければ交渉すらできない状況だった。一方で、監督が変われば選手の立ち位置も変わる。登録が7月のタイミングであるというところで、先を予測して交渉するのは困難を極めた。OAに限らず、この年代の久保建英、鈴木唯人、鈴木彩艶、この海外組の選手たちも招集が叶わなかった。ヨーロッパオフィスを抱えているので、日々クラブと連絡を取りながら、昨日まで努力をしたが、そういう選手たちがチームでとてつもなく大きな存在として必要とされているからこそ困難な状況になっているのだろうと思う。この選手たちの成長、躍進がなくても勝てるという底上げを考えていきたい。このメンバーでメダルをどう狙うかということを、ここでしっかりと話ができれ場と思う。W杯予選にここから何人上がってこれるか、それが日本の未来。通過点として、パリ五輪の6試合の経験値があった人はすばらしい成長を遂げることを期待している。海外組は前回の東京五輪はU-23で7人の海外組がいた。今回は6人の海外組がいる。五輪まで海外に移籍するかもしれない。そういう意味で、大岩監督が選んだ選手たちに伸びしろがあると思っているし、日本の未来の成長に必ず力になってくると確信している。OAの話とは遠い話になるが、今後世界のクラブとどうコミュニケーションを取って選手たちを招集できるのか、U-20の代表でも同じことが起きている。そういう時代になったということを、サッカーの明るさと捉えている」

──いま招集できるベストメンバーで、五輪本番ではどういう戦いを見せていきたいか。

大岩監督

「発足当初からロードマップを作って、パリオリンピック本番でファイナルに進むと。日本サッカー界の悲願でもある。そのターゲットに向けて2年半活動してきた。今回18名プラス4人で必ずファイナルに進む。金メダルを奪うという目標のもと、第1戦から一歩ずつ階段を上がっていき、国民の皆さまと喜ぶ合う瞬間をしっかりと想像しながら、一戦一戦戦っていきたい」

──最終予選では藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)が主将だった。パリ五輪での主将は決まっているか。

大岩監督

「キャプテンはまだ決めていない。アジア杯で非常にいい形で大会を進めることができたので、それを踏まえてまた大会前に決めたい」

──選考するうえで大切にしたこと、重要視したことは何か。難しさはあったか。

大岩監督

「難しさの部分でいうといろんな制限があった。U-23代表の宿命なので、直近のアジア杯の前もそういうことがあったし、IW(インターナショナルウィーク)外で活動するゆえの大きな壁は、われわれの活動2年半あったなかで、その都度招集できるメンバーが日本代表と。のべ87人を招集してきたが、その代表として18人プラス4人のメンバーが選ばれた。しっかりとした責任を持って、パリ五輪を戦っていきたい。難しさはあるが、それを力に変えて前に進んでいきたい」

──本大会までに移籍が決まる可能性もあると言っていた。その場合、本大会に出る支障があるのか。その理由でバックアップメンバーと入れ替えは認められるのか。バックアップメンバーは現地に帯同しないのか。

山本ND

「繊細で需要な情報だと思う。バックアップについて基本的にはこの4人から、18人に怪我や体調不良があった場合に差し替えられる。一方で、初戦の24時間前までで、4人のバックアップのところで何かあったときに、これ以外のラージグループがいる。50人という情報があったが、50人ではない。途中でルールが変わり、もともとが5月下旬に50人を提出する予定だったが、5月21日にFIFAから100人にしますという話が来た。さらに、その後100人も撤廃された。事実上100人以上、2月に登録した選手たち全員に可能性がある。ただ選ばれた18人に関しては、怪我や体調不良以外は差し替えは認められない。基本的には18人で戦う。バックアップ4人のところも、基本的にはこの4人。初戦の24時間前の先は、4人以外のプラスもできない。この中から23日以降で怪我人や体調不良がでたら追加はできない。そういう詳細なルールを把握したうえで動いていかないといけない。サポーティングスタッフ、メディカルスタッフ、さまざまな協力を得てやっていく」

──移籍を理由とした18人からの入れ替えはできないということか。

山本ND

「できません。というところで招集がすごく繊細で難しい話だった。この先を見て交渉しないといけないという確約が取れないと、1人2人減っていって、厳しい日程の五輪5試合を中2日で戦っていく。18人が17人16人になることは大きなダメージになるので、メンバー選考は厳しくなるということ」

──今大会の意気込み、目標は何か。

大岩監督

「しっかりと準備をしたなかで、本大会に向けて、スタッフ選手全員でパリ五輪一戦一戦を戦ったうえで決勝に進みたい。金メダルを取りたいと思っている」

──キャプテンはいつごろまでに置きたいか。

大岩監督

「全員が集まれるのが大会直前になる。全員集まった時点でキャプテンを決めたい。アジア杯で優勝したときも副キャプテンを置いた。チームの中で責任ある立場を置いて大会を戦いたい」

──大岩ジャパンの強みは何か。

大岩監督

「2年半活動してきて、アンダー世代いずれもそうだが、ターゲットが決まっている。われわれにとってパリ五輪が最後の大会。この後はサムライブルーに向けて選手たちが成長するしかない。われわれの年代の選手で戦う最後の大会になる。それに向けてこの2年半準備をしてきた。アジア杯で勝ってそれぞれが成長し、自信と責任を持って大会に臨める。2年半培ったすべてを発揮したうえで大会に臨みたい。一体感を持って強みとして大会に向かいたい」

──固定されたメンバーだと代表の感覚は生まれやすいが、入れ替わるなかで代表の意識させるために働きかけたことはあるか。

大岩監督

「特にないですね。都度招集されたメンバーが日本代表としての責任を持つという、U-23のフィロソフィーとともに活動してきたので、各選手たちが自覚を持って、日本代表として立ち振る舞いを含めてプレーしてきたと思う。その成長を持って、いま現在の立ち位置にいると思うので、その思いと自分自身の責任を合わせて、日本代表としてパリ五輪で戦っていきたい」

──今回五輪の舞台で戦う選手は、将来A代表としてW杯で戦うことも期待される。選手たちに五輪という舞台で何を経験してほしいか。

大岩監督

「選手たちも自覚していると思う。われわれは経験を積みにパリ五輪に出場するわけではない。日本代表として金メダルを奪うという気持ちで大会に臨むということを自覚している。真剣に戦うことの重要性、それに伴う勝敗における自信。そういうものの大きさは私自身認識している。勝負にこだわったうえで大会を戦い、その先に選手たちが感じているのであれば、選手たちにすべて跳ね返ってくると思う。サムライブルーかそれ以上か、目指すうえで重要なステップになるように戦えれば」

──不在の選手だが、失礼を承知で聞きたい。松木は怪我の影響があったのか。怪我の有無だけでも教えてほしい。

大岩監督

「選ばれていない選手のコメントは避けたいと思っている。ただ、彼のコンディションに問題があるという理由ではない。そのことだけは伝えたい」

山本ND

「北海道からありがとうございます。いまの松木選手の補足になるが、移籍の可能性がある。そのなかで確実に五輪の期間に招集できる確約が取れなかった。というところが一番の要因」

──バックアップメンバーは現地帯同がない。18人に加えてトレーニングパートナーは設けるのか。

大岩監督

「トレーニングパートナーを、山本NDを始め、サッカー協会にお願いをしている。選手の選定はこれからになるので、決まり次第お伝えができる」

山本ND

「トレーニングパートナーに関しては、U-19を中心に5人を予定して準備を進めている。ご存じのように、フランス代表と17日に現地で戦う。最後のトレーニングマッチになるので、そこで18人のメンバーの負荷を調整できるためのメンバーとして、U-19、ロス五輪世代の中から調整をしている」

──18人中16人が最終予選メンバー、残り2人も一次予選のメンバー。全員が予選を経験している。勝ち上がったことへの評価が選考に反映されたか。

大岩監督

「最終予選に参加したからとか、そういう理由があったわけではない。ただ、18人プラス4人のメンバーは非常に経験のある選手たち。われわれの活動だけではなく、U-23年代の中で経験のある選手たちなので、日常のプレーぶり、各リーグでのプレーぶりを評価したうえで選出させていただいた」