村竹ラシッドがパリ切符 男子110メートル障害初優勝「ここがゴールじゃない」 日本選手権/陸上

AI要約

村竹が男子110メートル障害で初の五輪代表入りを果たす。

村竹が内定をつかみ、パリ五輪に向けて感慨深く振り返る。

過去の挫折から学び、成長し、夢の舞台での成功を目指す決意を示す。

村竹ラシッドがパリ切符 男子110メートル障害初優勝「ここがゴールじゃない」 日本選手権/陸上

陸上・日本選手権最終日(30日、デンカビッグスワンスタジアム)今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねて、各種目の決勝が行われた。男子110メートル障害(追い風0・2メートル)は、日本記録保持者の村竹ラシッド(22)=JAL=が13秒07で初優勝。日本陸連の選考基準を満たして代表入りを決めた。女子100メートル障害は、福部真子(28)=日本建設工業=が12秒86(向かい風0・2メートル)で2度目の優勝を果たし、代表入りを決めた。男子100メートル(向かい風0・2メートル)は、坂井隆一郎(26)=大阪ガス=が10秒13で2連覇を達成した。

大雨を切り裂くスピードで、パリへと続く道を駆け抜けた。村竹が、13秒07のセカンドベストをマークし、初の五輪代表に内定。心の底から叫びたい衝動を抑え、静かに喜んだ。

「ここがゴールじゃない。やっとスタートラインに立ったので、感情は抑えました」

父がトーゴ出身の22歳。スタートから飛び出し、リズムを刻む。徐々に順位を上げ、半分を超えてトップに立つと、そのままゴールに飛び込んだ。悪天候の中でマークした13秒07は2021年東京五輪の銀メダル相当の好タイムだった。

小学5年で、陸上部の顧問だった担任の先生に誘われ、「イヤイヤ」陸上を始めた。千葉・松戸一中1年から、110メートル障害に軸足を置いて練習を重ねた。

松戸国際高卒業後は、同種目でパリ五輪内定済みの泉谷駿介(住友電工)が所属していた順大に進学。大学2年の2021年、東京五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権に今回と同じく参加標準記録を突破した状態で挑んだ。

3位以内で内定だったが、まさかのフライングで失格。スタートラインの後ろでレースを目に焼き付けた。「3年前、悔しい思いをして、覚悟して3年間やってきた。そこで自分の無力さと、世界の壁、屈辱とかが、パリへの執念になった。その無力さからは解放された」。心身ともに成長し、雪辱を果たした。

進学のたびに、「もうやめる」と言い続けてきた陸上競技だったが、続けてきたからこそ、夢の舞台にたどり着いた。「決勝進出が目標ですしメダル争いに加わりたい」。全てを懸けてきた3年間の成果をパリで発揮する。(高橋朝香)

■村竹 ラシッド(むらたけ・らしっど) 2002(平成14)年2月6日生まれ、22歳。千葉・松戸市出身。父はトーゴ出身。小学5年で陸上を始める。松戸一中1年時からハードル種目を始め、松戸国際高3年時に全国高校総体男子110メートル障害で優勝。順大3年だった22年の日本選手権2位で世界選手権(オレゴン)に初出場。23年9月の日本学生対校選手権で13秒04の日本タイ記録(学生新)を樹立。身長179センチ。