走行中にドアが…フェラーリ50号車を襲ったアクシデント それでも『捨て身の戦術』と『恵みの雨』でルマン連覇を呼び込む

AI要約

フェラーリ50号車がルマン24時間で9メーカー23台のハイパーカーを制し、連覇を果たした。

最終盤のガス抜きを成功させ、18秒差で2位のトヨタを振り切った。

勝利はドライバーの努力とチームの戦略が実を結び、シリーズ2位浮上を果たした。

走行中にドアが…フェラーリ50号車を襲ったアクシデント それでも『捨て身の戦術』と『恵みの雨』でルマン連覇を呼び込む

WEC 第4戦 ルマン24時間 世界耐久選手権 決勝 15~16日 サルトサーキット(フランス)

 9メーカーのハイパーカー23台が頂点を争った大接戦を、フェラーリ50号車のアントニオ・フオコ(28)/ミゲル・モリーナ(35)/ニクラス・ニールセン(27)組が僅差で制した。レース終盤のアクシデントで残りわずかとなった燃料を巧みに管理し、見事な逃げ切りを果たした。フェラーリは昨年の51号車に続く連覇(通算11勝)。トヨタガズーレーシング(TGR)は、小林可夢偉代表(37)率いる7号車が追い詰めるも、14秒届かず2位に終わった。

 息詰まる幕切れだった。走行中にドアが開くアクシデントに遭遇したフェラーリ50号車は、予定外のピットインを強いられてゴールまでの燃料がぎりぎり。それでも巧みな管理で乗り切り、栄冠を手にした。

 緊迫の最終盤を担当したニールセンはゴールの瞬間、「夢がかなった。素晴らしい結果だ!」と歓喜の雄たけび。「ドアに問題が発生して難しい状況に陥ったけど、その後は全てがうまくいった。最終ラップは、とても長く感じたよ」と振り返った。

 本来ならゴール直前にもう1回ピットインが必要だったが、終盤に降った雨のおかげでラップタイムが落ち、結果的に燃費が向上する追い風も吹いた。ゴール時の燃料を含めたエネルギー量は、たった2%しか残っていなかった。

 チームのエース格、フオコは歓喜の渦で中心に立つ。「週末を通して完ぺきだったから、この勝利は当然だ! 昨年から待ち望んでいたので、心の底から喜びが湧いてきている」。昨季はポールポジションを奪いながら、決勝はトラブル絡みで5位。2年越しの勝利をかみしめた。

8回目のルマンで初めての勝利を手にしたモリーナは感無量だ。「この勝利をつかむため、一生懸命に努力してきた。スポーツ選手として、キャリア最高の1日になった」。長らくGTカーの下積みを経験し、フェラーリのハイパーカークラスのメンバーに抜てきされたのは昨季から。地道な努力が、ついに花開いた。

 これで選手部門、メーカー部門ともランク2位に浮上。最大イベントを制した勢いを、シリーズでも存分に発揮する。