【重量挙げ】アトランタ五輪代表で札幌琴似工の橘典人監督の長男武蔵が高校総体予選初出場2位

AI要約

男子61キロ級で大会初出場し健闘する札幌琴似工の橘典人監督の長男武蔵。悔しさをにじませながらも、目標に届かなかったことを語る。

野球部で投手を務めていた過去を持つ武蔵が、父からの影響を受けて重量挙げへ転向するきっかけとなったエピソード。

強心臓の持ち主である武蔵が、練習と努力を重ねて競技に取り組む姿を通じて、将来への期待が寄せられている。

【重量挙げ】アトランタ五輪代表で札幌琴似工の橘典人監督の長男武蔵が高校総体予選初出場2位

<全国高校総体重量挙げ北海道予選>◇14日◇男子9階級、女子4階級◇札幌あすかぜ高

 96年アトランタ五輪重量挙げ男子64キロ級日本代表で、札幌琴似工の橘典人監督(52)の長男武蔵(札幌琴似工1年)が、男子61キロ級で大会初出場。スナッチ77キロ、ジャーク92キロのトータル169キロで2位に入る健闘を見せた。

 橘はジャークで92キロを2度失敗したが、あとのない3回目に成功。初めての全国につながる試合で、父譲りの強心臓ぶりを発揮した。橘は「まだ納得はいってません。スナッチで80キロ、ジャークで98キロは挙げたかった」と、目標までわずかに届かなかったことを悔しがった。

 札幌新陵中3年夏までは野球部で投手を務めた。昨夏の北海道総体で、父の育てた選手が活躍する姿を見て「感動というか刺激みたいなものを感じて」(橘)姉の歩花さんと同じように、重量挙げへの転向を決めた。高校入学3カ月ほど前に札幌市内の体育館で行った札幌琴似工部員との合同練習では、1度持った20キロのシャフトを、スタンドに戻すことすらできなかった。「練習は大会で使えない10キロのシャフトを使ってトレーニングした」という。

 底辺からのスタートだったが、すぐに橘家の血が騒ぎ出した。高校入学1カ月後の春季大会男子61キロ級で早くも優勝。14日は3年生に敗れて全国切符にこそ手は届かなかったが、同級8人中2位の結果を残した。「まさか長男も(重量挙げを)やってくれるとは思わなかった」という橘監督だが、「今年はこれでいい。来年3月の選抜大会で全国出場、夏のインターハイで入賞、そして3年生で日本一。オリンピックにも出てほしい気持ちはあります」と、親子五輪出場にも期待を寄せる。

 3月の全国高校選抜55キロ級で優勝、14日の大会も圧勝し、総体での2冠を狙う角琉斗(かど・りゅうと、札幌琴似工3年)は「やっぱり(橘監督の)血が流れてますよね。1年生であれだけ持てれば、3年生になった時には、すごいことになっているかもしれません」と、橘を評価する。

 自宅に帰れば、動画を見ながら元選手の姉と父と3人でフォームを分析。1時間も3人で激論を交わすこともある。自宅には五輪出場時の写真があり、父の実家である士別に戻ると、数え切れないほどのトロフィーが並ぶ。「始めたからには、行けるところまで行きたい。来年はもっと頑張りますので、また取材してください」と橘。予想よりも早く、その日がやってきそうだ。【中島洋尚】