朝乃若、やっぱり持ってた勇姿 関取経験者として33年ぶり弓取り式、十両返り咲きへ「頑張らないと」

AI要約

元十両力士が弓取りを務める珍しい出来事が話題に

幕下朝乃若が夏場所で弓取りを務め、十両返り咲きへの思いを強くする

名古屋場所で期待を集める若手力士の取組と弓取りパワーに注目

朝乃若、やっぱり持ってた勇姿 関取経験者として33年ぶり弓取り式、十両返り咲きへ「頑張らないと」

◇記者コラム「Free Talking」

 結びの一番直後の勇姿が、役力士が立て続けに休場した関係でほぼフルでテレビ中継された“持ってる”デビューだった。大相撲で元十両の幕下朝乃若(28)=高砂=が、弓取りを夏場所2日目から千秋楽まで務めた。関取経験者が弓取り式に登場するのは1991年名古屋場所の秀ノ花以来、33年ぶりというレアケースだった。

 「最後をビシッと締めることを心掛け、弓をすっぽ抜けるギリギリの勢いで回しました。相撲の神様に『明日もよろしくお願いします』という思いも込めてでしたね」。若い衆にとって弓取り式は場所中、幕下上位が十両と対戦する以外では大銀杏(おおいちょう)を結える数少ない機会。十両返り咲きへ、思いを強くする時間になった。

 2021年九州場所で新十両に昇進し、6場所連続で関取の座を守ったが新型コロナウイルスに感染し、後遺症で休場したことで幕下に転落。一時は階段の昇降だけで息が切れるなど体力の低下に悩まされたが、ようやく持ち直してきた。

 結びを土俵下で見届けた特権も生かす。究極の見取り稽古の中で忘れられないのは、王鵬が豊昇龍に挑んで撃破した7日目の一番。2人とは相撲教習所の同期で「自分も頑張らないといけない」と気合を充電した。

 肝心な夏場所の星取りは、4勝3敗で5場所連続勝ち越し。西幕下20枚目から名古屋場所(7月14日初日、ドルフィンズアリーナ)では、全勝すれば十両復帰となる15枚目以内に番付を上げる見込みだ。

 弓取りの出番を待つ間、支度部屋で囲み取材の輪に加わるふりをするなど明るいキャラクターも魅力。大事な名古屋場所への意気込みを「(立ち合いの)変化は少なめ。しないとは言ってません」と不敵に予告する強心臓も武器だ。代役だった弓取りを継続するかは現時点で未定。なので、まずは取組での弓取りパワーに注目を!(大相撲担当・志村拓)