大リーグの24歳現役選手、100年ぶりの永久追放に思う MLBが今後徹底しなければいけないこと  

AI要約

米大リーグ機構がパドレスのトゥクピタ・マルカノ内野手を永久追放処分にしたことを発表。

マルカノが野球賭博を行い、規定に違反したことが証明された。

他にも4選手が野球の試合に賭けたことで1年間の出場停止処分を受けた。

大リーグの24歳現役選手、100年ぶりの永久追放に思う MLBが今後徹底しなければいけないこと  

 米大リーグ機構(MLB)が4日(日本時間5日)、パドレスのトゥクピタ・マルカノ内野手(24)が野球賭博を行い、規定に違反したため永久追放処分を科したと発表した。調査の結果、パイレーツに所属した昨季、膝の前十字じん帯を断裂して負傷者リスト(IL)に入っている際に、パイレーツの試合に賭けていたことが証明されたと発表した。

 球界の永久追放処分は、1989年に自チームの勝敗に賭けたレッズ監督だったピート・ローズ以来となるが、現役選手となると、1924年にジャイアンツのジミー・オコネル外野手が相手チームに八百長をもちかけて追放になって以来100年ぶりとなる。

 メジャーリーグ規則第21条では「選手や審判、球団職員らが、自分が関わる試合に賭けた場合は永久追放処分となり、自分が関与しない場合でも野球賭博は1年間の資格停止処分になる」と明記されている。

 ベネズエラ出身のマルカノは2021年にパドレスでメジャーデビュー。翌年から2年間はパイレーツに所属し通算149試合に出場して打率2割1分7厘、5本塁打、34打点を記録。今季は古巣パドレスに復帰も膝の故障でプレーしていない。

 発表された資料によるとマルカノは22年10月から23年11月にかけて、15万ドル以上を野球関連の賭博に使い、そのうち8万7319ドルを231件のMLB関連の賭けに使っているという。MLB試合の賭けでは、パイレーツ所属時期に25回、パイレーツの試合に賭けたとしている。

 なお、アスレチックスのマイケル・ケリー投手、パドレス傘下マイナーのジェイ・グルーム投手、フィリーズ傘下マイナーのホセ・ロドリゲス内野手、ダイヤモンドバックス傘下マイナーのアンドリュー・サールフランク投手の4選手は野球の試合に賭けたとして1年間の出場停止となった。

 19世紀にも野球の試合が賭博の対象になり、10人以上が出場停止処分になっている。野球選手とギャンブラーとの関係はその頃から取りざたされている。ちなみに1920年代から30年代に制作された野球映画には「狙われたカージナルス」や「カブスのヒーロー」など、ギャンブラーの誘いを断って結果的にヒーローになるというストーリーが少なくなく、両者の関係をうかがい知ることが出来る。

 とはいえ、大リーグは徹底して賭博を排除するべく動いてきた歴史もある。1921年に初のコミッショナーに選出された、ケネソー・マウンテン・ランデス氏は就任した年に、1919年のワールドシリーズを舞台に行われたとされる八百長事件、通称「ブラックソックス・スキャンダル」に関わったホワイトソックス選手8人を永久追放にした。そして約25年間の就任期間中に19人の永久追放者を出して、球界の浄化に努めた。

 MLBはキャンプ時にスポーツ賭博教育プログラムに毎年参加することを選手や職員に義務付けている。それでも、野球賭博の事件が起こる。けがで戦列を離れている若手、さらには収入の少ないマイナー選手への教育の徹底は、MLBにとって今後さらに大きな仕事の一つとなりそうだ。

(蛭間 豊章・ベースボールアナリスト)