神戸連続児童殺傷事件から27年 11歳の男児亡くした父親が手記「子供への思いは変わらない」

AI要約

1997年、神戸市須磨区で山下彩花さんと土師淳くんが14歳の少年に殺害される事件が27年前に起きた。淳くんの父親が事件の心境を手記で語り、被害者支援の不十分さを指摘している。

加害男性からの手紙はなく、未だに納得できる解答を求める遺族。兵庫県の被害者支援条例施行により見舞金制度が始まるも、さらなる改善が必要と訴える。

国による犯罪被害者支援の見直し案が進行中で、被害者団体は犯罪被害者庁の設立を求める声が上がっている。

神戸連続児童殺傷事件から27年 11歳の男児亡くした父親が手記「子供への思いは変わらない」

 1997年、神戸市須磨区で山下彩花さん(当時10歳)と土師淳くん(当時11歳)が14歳だった少年に殺害されました。事件から27年が経ち、淳くんの父親・守さんが手記を寄せ、「子供への思いはどれほどの時間が経過しても変わるものではない」と現在の心境を明かしました。

 また、去年、兵庫県で犯罪被害者等支援条例が施行され、見舞金の支給制度が始まったことについては評価しながらも、「被害に遭った少年に対する支援は教育を含めて、全く不十分な状況」と指摘しました。

 なお、当時14歳の加害男性からの手紙は届いておらず、「遺族の思いに答える努力をして欲しい」と綴りました。

 私たちの次男の淳が亡くなってから今年で27年という年月が経過しました。子供への思いは、どれほどの時間が経過しても変わるものではないと思います。

 加害男性からの接触は、現時点では手紙を含めてありません。私たちは、次男が何故、加害男性に命を奪われなければいけなかったのかという問いについて、私たちが納得するような解答を求め続けています。手紙を書くことも含め、私たち遺族の思いに答える努力をして欲しいと思います。

 兵庫県で犯罪被害者等支援条例が施行されてから1年が経ちました。昨年は犯罪被害者等総合相談窓口が開設され、本年度からは見舞金の支給制度が開始されました。見舞金支給制度を制定している都道府県はわずかで、兵庫県が見舞金制度を制定したことで、被害者支援がさらに進展するものと思います。しかしながら、対応すべき問題はまだ多く残っています。例えば、私が以前から話していますように被害に遭った少年に対する支援は、教育含め全く不十分な状況です。また兵庫県では、県に条例が制定される前に県内の全ての市町に犯罪被害者支援条例が制定されましたが、制定された時期も様々で、内容についてもかなり差があります。そのため、県内のどの市町で犯罪被害者・遺族になったかにより受けることができる支援に差があるのが実情です。県が中心となって、どの地域においても同じレベルの支援を受けることができるようすること、そして支援内容のさらなる改善を継続的に行って欲しいと思います。

 国における犯罪被害者支援については、昨年6月に犯罪被害者等施策推進会議が開かれ、被害者や遺族に国が支給する給付金額を大幅に引き上げる方針を政府が決定しました。この決定に基づいて警察庁に有識者検討委員会が設置され議論されてきました。そして犯罪の被害者や遺族に支払われる国の給付金の見直し案がまとまり、給付金の最低額が引き上げられると4月25日に報道されました。しかしながら、「新全国犯罪被害者の会(新あすの会)」が求めていた損害賠償金の国による立て替えなどの支援策は残されたままになりました。「新あすの会」としては、国が一元的に犯罪被害者支援を担うためにも、北欧で設立されているような「犯罪被害者庁」設立の必要性を訴えており、実現を望んでいます。

 犯罪被害は誰でも遭う可能性があります。一般の方々の理解がすすみ、犯罪被害者を取り巻く環境がさらに改善するように願っています。

令和6年5月24日 土師 守