指導者に十分な謝礼を支払えない悩みも 教員の負担軽減目指し国が進める「部活動の地域移行」金銭面の負担増の一方で練習時間と地域との結び付きは拡大 長野市の野球クラブの取り組み

AI要約

長野市の北部中学校で、部活動から地域クラブに完全移行した野球チームの取り組みが紹介されました。

地域クラブ化によって指導者の増加や練習時間の延長など、野球チームの活動が充実している様子が描かれました。

財政面や送迎方法などの課題もあるが、地域の協力を得て持続可能な活動を目指していると述べられました。

指導者に十分な謝礼を支払えない悩みも 教員の負担軽減目指し国が進める「部活動の地域移行」金銭面の負担増の一方で練習時間と地域との結び付きは拡大 長野市の野球クラブの取り組み

少子化や教員の負担などを背景に、国が進めているのが、公立中学校の部活動を地域のクラブ活動に移す「部活動の地域移行」です。

取り組みはどう進んでいるのでしょうか?

4月に完全クラブ化に移行した長野市の野球チームを取材しました。

長野市の北部中学校。

午後5時前、クラブのメンバーが集まって来ます。

選手:

「授業終わって家帰ってから来た」

「夜遅くまでやるので自転車で帰れるように」

北部中を拠点に活動する「長野北部野球クラブ」。

今年度、部活動から地域クラブに完全移行しました。

練習開始:

「こんにちは」

「きょうに関しては、この前、言った内容のバスター系の練習、技術中心にやっていきます」

外部コーチの一人、会社員の山下知希(やました・ともき)さん。

2023年の8月から指導に当たっています。

山下さん:

「ランナー確認して、ランナー確認して」

この日、取り組んだのが実戦を想定したバント練習。

山下さんは、実にソフトな口調で指導します。

山下さん:

「バッター、スリーバントですか今の?もう1打席行きましょう」

「今キャッチャーからの声ありましたか?大丈夫ですか?今の」

山下さん:

「友達感覚じゃないですけど、その中で厳しさとかも出していかないと、ということくらいですかね、意識してるのは」

メンバーは25人。週に4日程度、練習しています。

4人の外部コーチを招へいしたことで、活動の幅も広がりました。

選手:

「(以前の練習は)平日学校が終わってから1時間とかそのくらいだったが、クラブになってから午後5時から7時までの2時間になりました」

選手:

「部活動だったら顧問の先生だけって感じだったが、クラブになって地域の人たちが集まってきてくれて、指導陣が増えていいと思う」

選手:

「チームの力はどんどん上がっていってると思う」

クラブ移行で重要となるのが地域との繋がりです。

この日、中学生の指導に来たのは、中学のOBで長野商業高校の野球部員6人。

指導する高校生:

「どちらかというと下(半身)を使って打つ、上(半身)は力抜いていていい」

地域移行で柔軟に指導者を招くことができ、技術の向上や世代を超えた交流にもつながるメリットがあります。

田中智貴(たなか・ともき)保護者会長:

「親としても非常に活発な活動ができていると感じています」

「たくさん野球を楽しめるようになったかなと思います」

生徒数の減少や教員の負担軽減などを背景に、国が進める公立中学校の部活動の地域移行。

課題となるのが財政面を含めた運営のあり方です。

保護者 横地江美(よこち・えみ)さん:

「ちょっと金銭面(の負担)は上がったかなという感じはありますね」

クラブへの移行で、保護者の月々の負担額は上がりました。

しかし、指導者はほぼボランティア。

十分な謝礼を支払えていないのが現状です。

遠征の送迎方法や指導者の確保も課題で、送迎を保護者による当番制にしたり、幅広い世代に指導を行ってもらうなど、地域が一丸となってのクラブ運営を目指します。

保護者 横地江美さん:

「こどもたちが今までと変わらずにできる状況は維持して、部活と変わらずに維持していってほしいなと思います」

田中保護者会長:

「地域に愛されるクラブチームになっていきたいなと考えています」

山下コーチ:

「自分がある程度時間の確保、融通が効いて来れるのでいいが、地域の協力、保護者が手伝いに来てくれることをした方が持続可能な活動になってくる」

県教育委員会によりますと、今年度、県内では、17地区、29の市町村で、まずは休日の部活動の地域移行に取り組む予定です。

子どもたちがスポーツや文化芸術に親しむことができる新たな態勢づくり。

その模索が始まっています。