今度は審判で五輪へ 元ラグビー女子日本代表・桑井亜乃さん 選手と審判で出場は史上初

AI要約

桑井亜乃さん、7人制ラグビー選手から審判に転向し、パリ五輪で初の快挙を達成。

猛練習を重ね、世界大会で実績を積み、パリ五輪に向けて精進。

五輪では主審を務める予定で、全力で準備し臨む決意。

今度は審判で五輪へ 元ラグビー女子日本代表・桑井亜乃さん 選手と審判で出場は史上初

 ラグビー界で初の快挙となった。7人制女子日本代表として2016年リオデジャネイロ五輪に出場した桑井亜乃さん(アルカス熊谷、帯農高出)が、パリ五輪で7人制の審判団に選出された。選手と審判で五輪に参加するのは史上初。「オリンピックの舞台では強く美しく立っていたい」。再び晴れ舞台に戻る。

 道のりは平たんではなかった。十勝管内幕別町出身の桑井さんは大学卒業後に7人制ラグビーを始め、リオ五輪で日本女子初のトライを決めた。21年の東京五輪出場は逃して引退。審判に転向した。

 パリ五輪まで3年。「ラグビーは知っているけど、レフェリーは知らない」とゼロからスタートした。

 当初は関係者に「ノックオンのジェスチャーが下手くそ」と言われた。「下手くそってどういうこと?」と自問自答し、自宅の鏡を見ながら練習した。「どうやったら力強く、堂々と、ベテランっぽく見えるか」と地道な努力を重ねた。

 審判選考に関して、明確な選考基準はない。それならばと「分からないからレフェリーにすごい(数の)質問をして、コミュニケーションを取った」。パリ五輪まで残された短い期間で結果を出すため、22年の夏前には自ら海外の関係者に連絡して英国に渡り、国際大会で「武者修行」。実績を積んだ。

 昨年はリーグワン・埼玉の監督に直談判し、「対世界を意識して、スピード感を養いたかった」と男子トップ選手の練習に参加。今年は浦安で練習を行い、技量を上げ続ける。

 パリ五輪を目指す上で、特に昨年の国際大会は失敗できず、重圧から「心が折れまくった時もあった」。それでも「小さい時から出たかったオリンピックにもう1回出たい」と踏ん張り、昨春には香港で行われた7人制のワールドシリーズで初めて笛を吹いた。

 その後の国際大会では「この大会のファイナル(決勝)を吹かないと五輪はない」と審判団に猛アピールして勝ち取り、高評価を得て道を切り開いた。

 五輪では、7月28日に始まる女子の主審を務める見込み。帯農高、中京大と陸上の円盤投げに打ち込んだ34歳は「選手もレフェリーもやってきたことしか発揮できない。最大限に準備したものを全て出す気持ちで臨みたい」。

 今後は国内外の大会を経て、同15日のジャパンセブンズ(東京)で審判を担い、その足で合宿地のポルトガルに向かって本番に備える。