『富山生まれのウイスキー』がウイスキー文化根付く台湾で脚光を浴び始めている…その中で
富山県内で唯一、ウイスキーを製造する蒸留所。
「富山生まれのウイスキー」が台湾で注目を集める。
日本のウイスキー文化を世界に広める取り組みが続く。
蒸留所のマスターブレンダーが台湾を訪れ、現地のウイスキーコレクターと出会う。
三郎丸ウイスキーは安定した価格で人気を集め、日本のウイスキーの入門酒として推奨されている。
台湾のコレクターが三郎丸ウイスキーを誇る一方、高額な一本も存在する。
若鶴酒造の5代目がウイスキー事業に取り組むきっかけとなった体験や、富山のウイスキー文化に対する思い。
過去と未来を繋ぐウイスキーの魅力に夢中になり、ジャパニーズウイスキーの普及に尽力する。
日本の蒸留所の文化を伝え、ウイスキーを一国の文化へ発展させる目標を持つ。
富山県内で唯一、ウイスキーを製造する蒸留所。
世界で、日本のウイスキーの人気が高まり、輸出額が、この10年で40倍に伸びる中、「富山生まれのウイスキー」がウイスキー文化が根付く台湾で脚光を浴び始めていました。
「夜はすごく活気がある。昼間は暑くて外を歩くのがつらいから、みんな夜になったら出てくる」
砺波市の若鶴酒造5代目、富山唯一のウイスキー蒸留所「三郎丸蒸留所」マスターブレンダーの稲垣貴彦さん。
先月、最大の輸出先である、台湾を訪れました。
稲垣さんが車で向かったのは、台湾北部、淡水区のオフィス街。
三郎丸蒸留所と取引のあるジャパニーズウイスキーのコレクターに迎えられました。
並んでいたのは、およそ8000本のコレクションです。
「あっ、ブラックボウモア。こんなところで出会えるとは、ヤバすぎる」
どれもマニアにはたまらないお宝だそうです。
その中に混じって…。
コレクターのアダムさんが、最も誇りに思うコレクションの一つに挙げるのが、三郎丸のウイスキーです。
*ウイスキーコレクター アダムチェンさん
「ジャパニーズウイスキーは以前からとても人気があるが、ウイスキーを飲む人が増えて人気が右肩上がりになっている。価格も上がっているが、三郎丸ウイスキーはいい意味で安定した価格。消費者にとって試しやすく、まずは三郎丸から日本のウイスキーを始めることを勧めている」
稲垣さんは、さらに奥の一点物のボトルが置かれた特別室に招かれました。
そこで、アダムさんからある提案を受けました。
*若鶴酒造 5代目 三郎丸蒸留所 マスターブレンダー 稲垣貴彦さん
「ここはマルス駒ケ岳蒸溜所のための部屋になっているが、三郎丸をテーマにした部屋みたいなものも作っていきたいというお話」
ウイスキー文化が根付いた台湾から熱い視線が注がれる三郎丸のウイスキー。
日本酒も製造する若鶴酒造の5代目は、なぜウイスキー事業の改革に取り組んだのでしょうか。
*若鶴酒造 5代目 三郎丸蒸留所 マスターブレンダー 稲垣貴彦さん
「富山に社会人になって戻ってきた時、曾祖父が蒸留したウイスキーを飲んで、それが1960年蒸留ということで約55年前のウイスキーだった。その味が感動的で時代を経た凄味というか、直接ウイスキーでつながった気がして半世紀の時を超えるウイスキーという時がつくる酒の魅力にはまっていった」
滞在先のホテル。
併設されたウイスキーの展示場であるボトルが目に留まりました。
*若鶴酒造 5代目 三郎丸蒸留所 マスターブレンダー 稲垣貴彦さん
「三郎丸1960が収蔵されている」
それは、2代目が蒸留し、8年前(2016年)稲垣さんが1本55万円で販売した代物でした。
海をわたって、台湾で再会。その値段は…。
「907万6000円。曾祖父が蒸留したものが価値が認められてここにあるというのはうれしいですけど、誰が飲めるのかな」
時を重ね、価値が増していく酒、ウイスキー。
稲垣さんは、いま、ジャパニーズウイスキーを世界に伝え、その地位を確立することで未来にバトンを渡そうとしています。
*若鶴酒造 5代目 三郎丸蒸留所 マスターブレンダー 稲垣貴彦さん
「自分の蒸留所だけじゃなくて、いま日本にできている蒸留所がどんな思いでどんな作りでやっているのかということを伝えていくということが、文化としてのウイスキーを育んでいくのではないか」
ウイスキーを一時のブームから一国の文化へ…
稲垣さんの挑戦は続きます。