『豊岡演劇祭2024』いよいよ開幕 エリア拡大で「巡ることを楽しんで」 9月6日から

AI要約

豊岡演劇祭2024が開催される期間と会場拡大について紹介。

注目の作品やプログラム、アクセシビリティへの取り組みなどが紹介される。

演劇祭の最終日やナイトマーケットなどのイベント情報が紹介される。

『豊岡演劇祭2024』いよいよ開幕 エリア拡大で「巡ることを楽しんで」 9月6日から

 平田オリザさん(劇作家・演出家)のラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、豊岡演劇祭プロデューサーの松岡大貴さんが出演。9月6日(金)~23日(月・祝)の期間で開催される『豊岡演劇祭2024』の見どころなどを語った。

 2020年、コロナ禍にはじまった『豊岡演劇祭』。これまでは、兵庫県豊岡市・養父市・香美町の9つのエリアで開催されていたが、今年は新たに朝来市・宝塚市も加わり、期間も延長された。

 同演劇祭プロデューサーの松岡さんは、「すべてを紹介しきれないのが申し訳ない」と前置きしながらも各週の見どころを伝えた。

『豊岡演劇祭2024』は、9月6日(金)に江原河畔劇場で行われる、たじま児童劇団による『転校生』で幕を開ける。同作はフランツ・カフカの「変身」をモチーフにしており、フェスティバルディレクターを務める平田さんの代表作。演劇祭では、但馬の中高生たちが演じる。

 7日(土)午前11時からは、今回新たなエリアとして加わった宝塚市でストリートプログラムがスタート。ホール公演、野外公演、宝塚市主催のマルシェまで、1日中楽しめるプログラムとなっており、松岡さんは「1日で『豊岡演劇祭』を体験してもらおうと、ありとあらゆるものを詰め込みました」と語る。

 8日(日)には、安藤忠雄建築で知られる「木の殿堂」(香美町)で『山月記』が行われる。同作は、玄武洞(豊岡市)など、これまでにさまざまな場所で上演を重ねてきた人気の演目だ。

 2週目は盛りだくさん。なかでも特筆すべきは、青年団の『銀河鉄道の夜』。宮沢賢治の名作童話を鮮やかに舞台化した同劇団の人気作に、今回初めて全公演で舞台手話通訳が付く。ほかにも、暗所が苦手な人のために場内の照明を明るくし、上演中の入退場を可能にした「リラックスパフォーマンス」回も設けられている。

「今回の演劇祭では、海外でも取り入れられている“アクセシビリティ”にも力を入れています。集中して観たい人は通常回で、と状況に応じて選んでもらえたら」(松岡さん)

 平田さんの教え子でもある藤田貴大率いる演劇団体「マームとジプシー」は、イタリアとの共同製作作品『Chair/IL POST』で登場。平田さんとのアフタートークも予定されている。

 平田さんは「専門職大学の学生もスタッフとして参加しています。僕より人気がある(笑)」と話し、イタリアで実施したオーディションで選抜された出演者とともに、どのような作品に仕上がっているのか期待される。

 また、城崎国際アートセンター(豊岡市城崎町)では、タイの新世代振付家コーンカーン・ルーンサワーンによる拡張現実(AR)・仮想現実(VR)を融合した観客参加型のダンス公演が行われる。タイの古典舞踊と最新機器が織りなす新感覚の舞台だ。

「タイでは、神に願い事をするときに踊りを捧げる。その伝統とテクノロジーを融合させたパフォーマンスで、難しそうに聞こえますがどなたにでも楽しんでもらえます。上演期間はタイカレーが食べられるKIAC食堂も出店予定です」(平田さん)

 会期半ばの週末は、ストリートプログラム(大道芸)やフリンジ公演も盛んだ。城崎文学館(豊岡市城崎町)でダンス公演が楽しめるほか、ホテル金波楼(豊岡市瀬戸)では、原田大二郎と佐藤正治による『朗読とパーカッションの新世界~城の﨑の先~』が行われる。

 豊岡市但東町では、毎年恒例になりつつある、地元住民とともに作りあげるオリジナル神楽『但東さいさい』が、日出神社(但東町畑山)で開催される。同演目は但東町を構成する3つの集落を1年ごとに巡回しており、今では、これまでに参加した中学生が指導役にまわっているそう。

 3週目は、演劇祭のラストスパート。豊岡市民プラザで開催される『島ゞノ舞ゝゝ』(しまじまのまいまいまい)は、東京パラリンピック開会式でソロダンサーとして出演した森田かずよが率いるダンスカンパニー「Mi-Mi-Bi」の新作公演。

 社会や暮らしのなかに障害を覚える身体のパフォーマーらで構成されるダンスは、まさにカンパニー名である「未だ見たことのない美しさ」を体現したもの。

「2022年フリンジセレクションで発表された作品を拝見して感動して、今回、公式にオファーさせていただきました。コンテンポラリーダンスの可能性をぜひ、見ていただきたい」(松岡さん)

 今年から参加する朝来市では、あさご芸術の森美術館(朝来市)が主催するイベント『観月の夕べ』とのコラボレーションで2演目を楽しむことができる。

 大千秋楽は、養父市で行われる、コンテンポラリーダンスユニット「んまつーポス」と香港のダンスカンパニー「Unlock Dancing Plaza」が共創した『キリギリスとアリ』。「んまつーポス」は宮崎県を拠点に教育とダンスのコラボレーションに取り組んでいる団体で、事前に学校訪問や市民参加のワークショップを行う予定だ。今回は、大人も子どもも楽しめるダンス作品で演劇祭を締めくくる。

 期間中に開催されるナイトマーケットも演劇祭の醍醐味のひとつ。

 江原駅前イベント広場(14・15日開催)のナイトマーケットは、サンロード商店街が全面協力。飲食のほかに、アーティストらによるゲリラパフォーマンスや、江原出身の漫才師・ユリオカ超特Qによるスタンダップコメディも予定されている。

 豊岡市役所本庁舎前市民広場(20~22日開催)ではトークショーも行われるなど、出演者との交流も楽しみだ。

 演劇祭期間中は、豊岡・城崎・竹野・江原・但東にオフィシャルミーティングスポットが設けられるため、感想を語り合ったり情報交換するのも良いかもしれない。

「全公演、当日券の情報は当日の朝にホームページで告知する予定です。ご紹介した以外にも、竹野や神鍋でも、全国から実力あるアーディストらが集結してみなさんのご来場をお待ちしています。演目はもちろん、地元の飲食店や商店でのお買い物や施設を含め、豊岡演劇祭を満喫してください」(松岡さん)

※ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』2024年9月5日放送回より