“リアル桜木花道”飛躍期す 長崎ヴェルカ・川真田紘也(26) 「チーム全員が熱い」 

AI要約

日本代表センターが新シーズンを長崎ヴェルカで迎える。世にその名を知らしめたのは2023年夏のワールドカップでの活躍。地道な努力と強い意志を持つ選手だ。

過去の挫折を乗り越え、代表での活躍を経てヴェルカに移籍。新しい環境での挑戦を楽しみ、成長を目指す姿勢を示す。

バスケットボールに熱心に取り組み、チームを勝たせるために全力を尽くす姿勢が印象的。日本を代表するビッグマンとしてさらなる成長を目指す。

“リアル桜木花道”飛躍期す 長崎ヴェルカ・川真田紘也(26) 「チーム全員が熱い」 

 粗削りで迫力あるプレー、派手に染めた髪、そして憎めないキャラクター。人気漫画「スラムダンク」の主人公に似ていることから「リアル桜木花道」とファンに親しまれる日本代表センターが、新シーズンを長崎ヴェルカで迎える。「新たな環境で挑戦したかった」。川真田紘也(26)は愛嬌(あいきょう)たっぷりな笑みの内側に強い覚悟を秘める。

 世にその名を知らしめたのは2023年夏のワールドカップ(W杯)だった。身長204センチ、体重110キロの恵まれた体格を生かして屈強な外国人選手と張り合う。力強く、泥くさいプレーで日本の欠かせないピースとなり、パリ五輪切符に貢献した。

 徳島県出身。決してスター街道を歩んできたわけではない。当時B1滋賀の2年目だった22年に初めて代表合宿に呼ばれた際は「練習生」という肩書からのスタートだった。以来、何度も「代表候補」止まりで落選したが、めげない。「合宿に呼ばれている以上、自分の何かが必要とされているはず。スクリーン、リバウンドで体を張る。できることを愚直にやり続けた」

 23年2月、W杯アジア2次予選で代表デビューすると、8、9月に沖縄で行われた本大会も4試合に出場。トム・ホーバス監督が「当初からだいぶ大人になった」と評価する選手に成長した。今夏のパリ五輪は最終候補16人までで惜しくも落選したが、バックアップメンバーとして現地に帯同。開幕直前、韓国との強化試合では合流間もない八村塁と積極的にコミュニケーションを取り、ムードメーカーとしての存在感も発揮した。

 「落選して悔しい気持ちはもちろんあった。でも、最大限アピールできたし、これで落ちるならもっと身に付けないといけないことがある」。決して下を向かなかった。

 ヴェルカから声がかかったのはパリ五輪より3カ月ほど前、滋賀3年目も終盤に差しかかった4月下旬だった。代表での活躍もあり、実にBリーグ10チームからオファーがあった。ここまで自分を成長させてくれた滋賀に残留する選択肢もある。そんな中、代表の同僚で昨季、ヴェルカのエースだった馬場雄大が助言してくれた。「環境面ももちろんそうだが、成長という部分においては一番のチームだと聞いた」。馬場の後押しが決め手となった。

 長崎に来て約1カ月。髪は「カステラ色」に染め、8月18日の公開練習で同僚へバースデーソングを披露するなど既に「らしさ」を発揮している。「滋賀とは違うバスケットをしていて新しい知識が入ってくる。長崎はチーム全員が熱い。いろんなことを教えてもらえて本当に挑戦して良かった」。オフの日は一日中寝てしまうくらい、練習に没頭している。

 センターは外国人選手が幅を利かせるポジションで、代表選手といえども定位置をつかむのは至難の業だ。「まずはヴェルカで活躍して、チームを勝たせることに集中したい」。その先に、あと一歩届かなかった世界が広がっていると信じて。日本人屈指のビッグマンはヴェルカとともに、さらに大きく成長する。