赤く染まった山肌…朝起きて眺めた光景に感嘆 3000m級の北アルプスは「九州の阿蘇とはまた違う…」

AI要約

熊本日日新聞社(熊本市)から信濃毎日新聞社(長野市)に出向した記者が、上高地での山岳体験を通じて新たな視点を得る。

長野の自然や山々の美しさと厳しさに触れ、初めて住む地での発見を大切にしたいと語る。

山で学んだことを生かし、さまざまな「出会い」を取材に生かしたいという決意を示す。

赤く染まった山肌…朝起きて眺めた光景に感嘆 3000m級の北アルプスは「九州の阿蘇とはまた違う…」

 熊本日日新聞社(熊本市)から信濃毎日新聞社(長野市)に出向して4カ月余。長野県松本市の上高地を早朝に出発し、息を切らしながらなんとか涸沢カールに歩き着いた。信州の山に挑戦するのは7月の御嶽山に続いて2度目だった。そこから見えた3千メートル級の切り立つ山々が連なる北アルプスの景観は、カルデラで知られる阿蘇を代表とする熊本の山とはまた違う、美しさと厳しさを兼ね備えた姿に見えた。

 「湯だまり」が特徴的な火口や、草原がいっぱいに広がる「草千里」といった阿蘇の観光スポットは車で行けるため、そもそも本格的な登山経験はなかった。

 上高地の西糸屋山荘に泊まった初日。元山岳ガイドの吉田春彦さん(81)=栃木県=が、上高地の自然について語る講演が山荘で開かれた。夕食後に参加すると、標高約1500メートルの上高地では低山帯と亜高山帯の植物がともに楽しめると教えてくれた。

 吉田さんは54歳の時、新潟に転勤したのをきっかけに、20回の登山を繰り返し、新潟から静岡まで日本アルプスを縦断した経験を持つ。その後、14年間、山岳ガイドを務めた。「今日、新聞記者と知り合うとは思っていなかった」と話す吉田さん。「山では新たな出会いがあるね」とうなずいた。

 取材拠点の「涸沢ヒュッテ」で目の当たりにしたものは、新鮮でどれも忘れられない。名物のおでんや、秋の訪れを感じさせるミヤマアキノキリンソウの黄色い花、そして早起きして見た、朝日に赤く染まった北アルプスの山肌―。

 初めて住む長野では知らないことも多いが、慣れない土地での発見が記者としての新たな視点につながるかもしれない。山で学んだことを生かし、“出会い”を大切に取材を続けたい。

(信濃毎日新聞長野本社報道部 園田琢磨)