神経難病、話せて頼れる 友の会県組織、患者の交流会続ける

AI要約

神経難病患者の友の会県組織が、患者や家族から頼られる存在となっている。情報や交流の場を提供し、患者同士が気軽に話せる場を提供している。

根本的な治療法がない難病に苦しむ患者や家族にとっては、悩みや工夫を共有できる場がとても貴重である。

会の活動は県内外から患者が集まり、交流会では悩みや情報共有が行われている。清野代表らは今後も定期的な交流会の開催を続ける予定。

神経難病、話せて頼れる 友の会県組織、患者の交流会続ける

 歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないなどの症状を発する神経難病患者の友の会県組織が患者や家族から「気軽に相談できる場」と頼られる存在となっている。「可動域を広げるリハビリ法を教えて」「車いすに姿勢良く座る方法は」。根本的な治療法がないことを背景に、当事者にしか分からない悩みや日常生活での工夫などを気軽に話せる場が乏しく、「話をしたい」と、年数回開かれる交流会には県外からも患者らが訪れている。

 会の名称は県脊髄小脳変性症・多系統萎縮症・神経難病友の会。自らも難病と闘っている山辺町の清野東至代表(53)が2016年に立ち上げた。清野代表は「患者数が少ない難病の場合、患者同士の交流機会は乏しく、情報弱者にもなりかねない」を発足の理由に上げる。

 県障がい福祉課によると、県内の脊髄小脳変性症(SCD)の患者数は241人、同様の症状がある多系統萎縮症(MSA)が92人(いずれも今年3月末時点)。共に運動失調を主症状とする進行性の神経難病で、根本的な治療法は確立されていない。故に病気に対する情報が少ないことに加え、病気に対する世間の周知も及んでいないことが患者や家族の間で悩みの種になっている。

 交流会は不定期で年に数回企画しており、7月14日に山形市総合福祉センターで開かれた会合で20回目となった。この日訪れたのは約20人。車座となった参加者はそれぞれ、近況や悩みなどをざっくばらんに話し始めた。効果的なリハビリ法のアドバイスを求める内容などのほか「おむつってどこで買っていますか?」といった同じ境遇の人にしか聞けない内容が次々と出た。

 仙台市から参加した宮崎滋さん(47)はSCD患者で24歳で発症し、現在は車いす生活を送る。宮城県内にSCDの患者組織はなく同じ病気の人と交流したいと山形まで足を延ばした。「同じ悩みを持った人たちと話ができて良かった。自分の経験がほかの人の役に立てたこともうれしかった」と言う。宮崎さんは現在、宮城県で患者組織を立ち上げようと動いている。

 清野代表は「同じ病気の人と話したことがない人も多い。みんなどんなことで悩み、苦労しているのか患者同士が気軽に情報交換できる場は必要」とし、今後も定期的に交流会を開催していくと話している。

 同会のホームページアドレスはhttps://lightworksnet.wixsite.com/mysite-2

◇脊髄小脳変性症(SCD)・多系統萎縮症(MSA) いずれも進行性で、厚生労働省の指定難病。症状の程度や進行の早さには個人差があり、寝たきりになることもある。根本的な治療法はなく、症状を和らげる対症療法や生活の質の向上にリハビリが取り入れられる。SCDの3分の1は遺伝性とされている。