巨大地震直前に見られる「異常」、京都大研究グループが分析 「ノイズでないこと確信」予測の一助に

AI要約

巨大地震の直前にみられる電離圏の異常は、地層のずれが始まった震源域で水が「超臨界状態」になることで引き起こされる可能性が高いと、京都大学の研究グループがこのほど発表した。

電離圏は電子密度の高い大気上空の領域で、高さ約300キロ前後で最も電子の密度が濃い。京大情報学研究科の梅野健教授らのグループは、2011年の東日本大震災、16年の熊本地震など国内外の大地震について、人工衛星のデータから電離圏の情報を分析。

破砕層内部の水は高温高圧下で、気体と液体の中間的な性質を持つ超臨界状態となって絶縁性を示し、破砕層が帯電。その影響で電離圏に向けた電界が生じ、電子密度に乱れを引き起こすという。

巨大地震直前に見られる「異常」、京都大研究グループが分析 「ノイズでないこと確信」予測の一助に

 巨大地震の直前にみられる電離圏の異常は、地層のずれが始まった震源域で水が「超臨界状態」になることで引き起こされる可能性が高いと、京都大学の研究グループがこのほど発表した。巨大地震の事前予測に生かしたいという。

 電離圏は電子密度の高い大気上空の領域で、高さ約300キロ前後で最も電子の密度が濃い。京大情報学研究科の梅野健教授らのグループは、2011年の東日本大震災、16年の熊本地震など国内外の大地震について、人工衛星のデータから電離圏の情報を分析。マグニチュード6超クラスの地震では、地震発生の約1時間前から震源域上空の電離圏で局所的な乱れが起きることを確認していた。

 今回、地層のずれが破砕層に含まれる水にどのような影響を与えるかに着目した。破砕層内部の水は高温高圧下で、気体と液体の中間的な性質を持つ超臨界状態となって絶縁性を示し、破砕層が帯電。その影響で電離圏に向けた電界が生じ、電子密度に乱れを引き起こすという。

 今後、研究成果の実証を進めるとともに、電離圏の観測網を充実させて大地震発生を事前に警告する防災システムの実現を目指すという。梅野教授は「地震と電離圏の異常を定量的に説明できる理論となり、地震発生前の電離圏の異常が単なるノイズではないことが確信になった。どの程度の規模の地震で異常が起きるのか、さらに詳細な研究を進める必要がある」と話している。

 研究成果は国際学術誌にオンライン掲載された。