城端トンネル、4車線化に避難坑活用 中日本高速、工事の最前線公開 重機や技術を説明

AI要約

中日本高速道路は南砺市の東海北陸道・城端トンネルを4車線化する工事を公開。避難坑の拡幅により、安全性と車線の解消が図られる。

現トンネルと平行して避難坑を拡張し、直径10.5メートルに広げる工事進行中。2027年8月の完成を予定。

最新技術や重機を使用し、デジタルツインシステムを活用。未完工の区間への拡張も計画中。

城端トンネル、4車線化に避難坑活用 中日本高速、工事の最前線公開 重機や技術を説明

 中日本高速道路は5日、南砺市の東海北陸道・城端トンネルを4車線化するトンネル工事の現場を報道機関に公開した。工事では、対面通行の現トンネルと平行している小型の「避難坑」を拡幅して2車線を増やす。岩を掘削してトンネルの断面を広げる最前線や専用重機、最新技術について説明が行われた。トンネルの4車線化工事は2027(令和9)年8月の完成を見込む。

 トンネル火災などに備える避難坑を活用して車線を増やす工事は中日本高速道路では初めて。対面通行が解消されることで安全性が高まり、車線の混雑の解消にもつながる。

 工事は直径4・5メートルの避難坑の周囲を掘り、直径10・5メートルに広げる。延長3221メートルで、福光側から白川郷側へ工事を進め、5日までに682メートル分を拡幅した。現トンネルは小矢部砺波JCTに向かう下り2車線、新たに車線を設けるトンネルは白川郷方面に向かう上り2車線となる。

 工事現場では、「ドリルジャンボ」と呼ばれる大型機械が投入されている。コンピューター制御で避難坑の穴の周囲に小さな穴を複数開け、穴に火薬を入れて爆発させる。崩れた岩をタイヤショベルでベルトコンベヤーに運び、トンネル外に運び出す。大型ダンプを使うよりも二酸化炭素排出量を減らすことができる。

 掘削した部分の補強では生コンの「吹き付け機」が使われ、最新レーザー測量で厚さを管理している。デジタル技術で工事現場を仮想空間に再現する「デジタルツイン」システムも活用している。削ったのみでは強度が不足する壁面を強化したり、地下水に対応するなど予定外の工事もあるという。

 小矢部JCT~白川郷IC(延長42・6キロ)では2016年、4車線化事業が始まった。対象37キロのうち10キロの工事が完了した。同区間の4車線化供用開始は現時点で未定。現場で説明した吉枝護中日本高速道路高岡事務所副所長は「安全第一で工事を進め、一日も早く4車線化を実現したい」と話した。

  ●「みらい館」開設

 中日本高速道路は5日までに、南砺市菅沼の五箇山生活館内に「4車線化みらい館」を開設した。入館無料、事前予約が必要となる。

 ★城端トンネル 現行2車線で直径11メートル。南砺市上田~上見に位置する。平行する避難坑はトンネル内での火災時、ドライバーらが逃げ込む歩行者用通路で、開通時から設けられているが、緊急時以外は利用できない。